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「食べ終わったらまた食べたい物を出してやるから、食べな!!!」
“ママ”が拓実にそう言った。
まさかそんな理由で食べていないとは想像も出来ず、驚いて拓実を見る。
拓実は箸をゆっくりと持ち、ゆっくりと・・・
並べられていた料理の中真っ直ぐと・・・
筑前煮を食べた・・・。
そして、泣いた・・・。
号泣した・・・。
ママの筑前煮は、よく人を泣かせる。
拓実も泣いた・・・。
嗚咽を漏らしながら、泣いた・・・。
そんな拓実を“ママ”が優しい顔で見下ろす。
私はママには敵わない。
私には重みがないから。
私の歩いてきた人生には、重みがないから。
そう思いながら“ママ”を見詰めていると、“ママ”が私を見た。
「今日はやけに良い女だね!!!」
「・・・え!?私!!?」
「一曲歌ってみな!!!」
そう言って、“ママ”がカラオケに歌を入れた。
メロディーを聞いてすぐに分かる・・・。
ママが1番好きな演歌。
大好きで家でもずっと口ずさんでいた。
故郷を想う演歌・・・。
さっきもカラオケで歌った一曲。
故郷を想う演歌だった。
そのメロディーを聞きながら立ち上がり、マイクを持った・・・。
そして、空気を・・・吸い込む・・・。
泣きながら私を見る拓実を見ながら、吸い込んだ空気を吐き出した・・・。
腹に力を入れて、吐き出した・・・。
そしたら、拓実がまた号泣をした・・・。
他のお客様達も次々と泣き出した・・・。
“ママ”も・・・“ママ”も泣いていて・・・
私も途中から泣いた・・・。
泣きながらも歌った・・・。
だって、歌いながらも響いているから・・・。
さっき聞いた拓実の歌が、響いているから・・・。
軽かった私の人生の道の中で・・・
拓実の歌が響いているから・・・。
拓実の重い歌が響いているから・・・。
響く拓実の歌が、私の人生と重なる・・・。
軽かった私の人生と、重なる・・・。
“ママ”が拓実にそう言った。
まさかそんな理由で食べていないとは想像も出来ず、驚いて拓実を見る。
拓実は箸をゆっくりと持ち、ゆっくりと・・・
並べられていた料理の中真っ直ぐと・・・
筑前煮を食べた・・・。
そして、泣いた・・・。
号泣した・・・。
ママの筑前煮は、よく人を泣かせる。
拓実も泣いた・・・。
嗚咽を漏らしながら、泣いた・・・。
そんな拓実を“ママ”が優しい顔で見下ろす。
私はママには敵わない。
私には重みがないから。
私の歩いてきた人生には、重みがないから。
そう思いながら“ママ”を見詰めていると、“ママ”が私を見た。
「今日はやけに良い女だね!!!」
「・・・え!?私!!?」
「一曲歌ってみな!!!」
そう言って、“ママ”がカラオケに歌を入れた。
メロディーを聞いてすぐに分かる・・・。
ママが1番好きな演歌。
大好きで家でもずっと口ずさんでいた。
故郷を想う演歌・・・。
さっきもカラオケで歌った一曲。
故郷を想う演歌だった。
そのメロディーを聞きながら立ち上がり、マイクを持った・・・。
そして、空気を・・・吸い込む・・・。
泣きながら私を見る拓実を見ながら、吸い込んだ空気を吐き出した・・・。
腹に力を入れて、吐き出した・・・。
そしたら、拓実がまた号泣をした・・・。
他のお客様達も次々と泣き出した・・・。
“ママ”も・・・“ママ”も泣いていて・・・
私も途中から泣いた・・・。
泣きながらも歌った・・・。
だって、歌いながらも響いているから・・・。
さっき聞いた拓実の歌が、響いているから・・・。
軽かった私の人生の道の中で・・・
拓実の歌が響いているから・・・。
拓実の重い歌が響いているから・・・。
響く拓実の歌が、私の人生と重なる・・・。
軽かった私の人生と、重なる・・・。
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