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竜さんが当ててくれた新婚旅行へのチケットを胸に抱き、右手を宝田の腕に組んでゆっくりと歩いていく。
雪が舞い落ちる雪道の上を。
“ゆきのうえ商店街”の道を。
そんな私と宝田を、商店街の左右に並んだ人達が大きな拍手と大きな声で祝福を送ってくれる。
みんなからの勧めにより宝田と私はここでもう1度結婚式をすることになった。
ウエディングドレスも着ていないしタイキードだって着ていない。
協会ではないし商店街の道で、向かう先は商店街のアーチの下。
そこにいるのは神父さんではなくて巫女の格好をした神社の娘。
慌てまくっている巫女さんの元に向かって、沢山の祝福の声に包まれながら宝田と一緒に歩いていく。
「これからの人生、俺と2人で夫婦生活という共同作業をして欲しい。」
「うん、一緒にやっていこう。
1人では出来ないことも2人だと出来るだろうし。」
「うん・・・じゃあさ、子作りもしていいのかな?」
「それこそ1人じゃ出来ないんだから共同作業していこうよ。」
「了解です、今夜からよろしくお願いします。」
そんな返信には笑いながら、私は聞いてみた。
「神社での願い事は何て願ったの?」
「そんなの、長峰の幸せだけを願ったに決まってるだろ。
バカ舌でもあり素晴らしくもある俺の雪の枝、そんな雪枝のことを幸せにしてくれる人が隣で歩いてくれるように、そして雪枝もその人のことを幸せに出来るようにって。」
私の幸せしか詰まっていない宝田の願い事に、私は声を出して笑いながら宝田の腕をもっと強く握った。
「凄いね、あの神社。」
「うん、神社は凄いよね。
でも・・・あの子大丈夫かな?」
アーチの下に立ちスマホとにらめっこしながらアワアワとしている巫女さんにも笑いながら、私は宝田と一緒に歩いていく。
そして、私達の心配を裏切るかのように巫女さんは厳かな空気を作り出した。
「病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も・・・。
これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」
信じられないくらいよく通る声・・・。
声というか空気のようなその声・・・。
その声が苦しくなるくらいにこの胸に入ってくる。
宝田と向かい合っているけれど、思わず両手で自分の胸をおさえてしまった。
そしたら全く同じタイミングで宝田が同じことをした。
宝田は少し驚いた顔をして私を見た後、すぐに嬉しそうな顔で口をゆっくりと開いた。
それを見て私も笑いながら口を開く。
「「誓います。」」
それから、宝田が一歩私に近付き私を見下ろした。
誓いのキスをするのだと分かるのに、何故か宝田はめちゃくちゃ緊張しだして一向にキスをしてこない。
商店街1、マツイ化粧品1器用な男がそんな感じになっていて、この前からの夜の夫婦生活での宝田の姿を思い浮かべながら私は思わず笑い・・・。
胸をおさえていた両手を離し、私は宝田の首に勢い良く回し・・・
背伸びをして宝田の唇に私の唇を重ねた。
その瞬間、大粒になった雪が激しさを増してこの世界を真っ白にした。
そんな中で沢山の拍手と祝福の声が響き渡り、“ゆきのうえ商店街”を包み込んだ。
宝田にキツく抱き締められる自分の身体を感じながら、お互いにゆっくりと唇を離して見詰め合う。
「足を止めずに歩き続けようね!
これからも張り合いながら。」
「うん・・・例えどこが道かも分からないような雪の上だとしても、俺達なら張り合いながら歩いていける。」
そう言った宝田が、私のことを真剣な顔で見詰めてきて・・・
「そろそろ、駿っていう呼び方に戻さない?」
「え、うちのお父さんとお母さんだって今も名字だし、オババせんぱいと竜さんだって名字で呼び合ってるからいいんじゃない?」
「あの人達、陰では絶対に名前で呼び合ってるよ?」
「え~・・・じゃあ、夜の夫婦生活の時に呼んでみる。」
「・・・マジか、めちゃくちゃ楽しみなんですけど。」
end..........
雪が舞い落ちる雪道の上を。
“ゆきのうえ商店街”の道を。
そんな私と宝田を、商店街の左右に並んだ人達が大きな拍手と大きな声で祝福を送ってくれる。
みんなからの勧めにより宝田と私はここでもう1度結婚式をすることになった。
ウエディングドレスも着ていないしタイキードだって着ていない。
協会ではないし商店街の道で、向かう先は商店街のアーチの下。
そこにいるのは神父さんではなくて巫女の格好をした神社の娘。
慌てまくっている巫女さんの元に向かって、沢山の祝福の声に包まれながら宝田と一緒に歩いていく。
「これからの人生、俺と2人で夫婦生活という共同作業をして欲しい。」
「うん、一緒にやっていこう。
1人では出来ないことも2人だと出来るだろうし。」
「うん・・・じゃあさ、子作りもしていいのかな?」
「それこそ1人じゃ出来ないんだから共同作業していこうよ。」
「了解です、今夜からよろしくお願いします。」
そんな返信には笑いながら、私は聞いてみた。
「神社での願い事は何て願ったの?」
「そんなの、長峰の幸せだけを願ったに決まってるだろ。
バカ舌でもあり素晴らしくもある俺の雪の枝、そんな雪枝のことを幸せにしてくれる人が隣で歩いてくれるように、そして雪枝もその人のことを幸せに出来るようにって。」
私の幸せしか詰まっていない宝田の願い事に、私は声を出して笑いながら宝田の腕をもっと強く握った。
「凄いね、あの神社。」
「うん、神社は凄いよね。
でも・・・あの子大丈夫かな?」
アーチの下に立ちスマホとにらめっこしながらアワアワとしている巫女さんにも笑いながら、私は宝田と一緒に歩いていく。
そして、私達の心配を裏切るかのように巫女さんは厳かな空気を作り出した。
「病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も・・・。
これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」
信じられないくらいよく通る声・・・。
声というか空気のようなその声・・・。
その声が苦しくなるくらいにこの胸に入ってくる。
宝田と向かい合っているけれど、思わず両手で自分の胸をおさえてしまった。
そしたら全く同じタイミングで宝田が同じことをした。
宝田は少し驚いた顔をして私を見た後、すぐに嬉しそうな顔で口をゆっくりと開いた。
それを見て私も笑いながら口を開く。
「「誓います。」」
それから、宝田が一歩私に近付き私を見下ろした。
誓いのキスをするのだと分かるのに、何故か宝田はめちゃくちゃ緊張しだして一向にキスをしてこない。
商店街1、マツイ化粧品1器用な男がそんな感じになっていて、この前からの夜の夫婦生活での宝田の姿を思い浮かべながら私は思わず笑い・・・。
胸をおさえていた両手を離し、私は宝田の首に勢い良く回し・・・
背伸びをして宝田の唇に私の唇を重ねた。
その瞬間、大粒になった雪が激しさを増してこの世界を真っ白にした。
そんな中で沢山の拍手と祝福の声が響き渡り、“ゆきのうえ商店街”を包み込んだ。
宝田にキツく抱き締められる自分の身体を感じながら、お互いにゆっくりと唇を離して見詰め合う。
「足を止めずに歩き続けようね!
これからも張り合いながら。」
「うん・・・例えどこが道かも分からないような雪の上だとしても、俺達なら張り合いながら歩いていける。」
そう言った宝田が、私のことを真剣な顔で見詰めてきて・・・
「そろそろ、駿っていう呼び方に戻さない?」
「え、うちのお父さんとお母さんだって今も名字だし、オババせんぱいと竜さんだって名字で呼び合ってるからいいんじゃない?」
「あの人達、陰では絶対に名前で呼び合ってるよ?」
「え~・・・じゃあ、夜の夫婦生活の時に呼んでみる。」
「・・・マジか、めちゃくちゃ楽しみなんですけど。」
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