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そして、夕方・・・



大学院に向かう為に長峰より先に会社を出ようとしていると、廊下を歩く大きな背中が。
ただ歩いているだけで存在感と圧倒されるようなオーラを持っている鮫島光一。



持って生まれた物なのか、それとも松居会長が身に付けさせた物なのか、それとも桃子せんぱいがそう育てたのか。



“コウイチ”が3歳の時にお父さんは亡くなり、5歳の時にお母さんが亡くなったと豊君から聞いた。



亡くなった理菜さんとよく似ていると須崎社長が言った桃子さんのことを思い浮かべながら、鮫島光一の大きな背中を見ていた。



「鮫島さん!鮫島さんって、“可愛くて美味しいまり姉”の“コウイチ”ですよね!?」



女の子の社員2人が目を輝かせて鮫島光一に話しかけてきた。



「そうですね、その“コウイチ”ですね。」



結構可愛いその女の子達の方を一切見ず、廊下を真っ直ぐと歩いていく。



「お母さんってうちの会社で働いてるんですよね?
鮫島って名字の人いないですけど、誰なんですか?」



「それは秘密なんですよね。
うちの姉と妹がやらかしちゃいましたからね。
この会社の化粧品、ボロクソに言ったじゃないですか。」



「確かに~!!
あれヤバかったよね~!!」



「動画見る限り、鮫島さんも社宅に住んでるんですよね?
どこの社宅ですか~?」



「僕、最近家に帰ってないんですよね。
他の所にいて。」



「え~!!彼女ですか?」



「そういう話、親に回ると面倒なのでノーコメントで。」



俺が助ける必要もなく、鮫島光一は誰にも負けないような男だった。
豊君が言うには、“破壊神”らしい。



そんな破壊神が女の子達からの質問を破壊していくのを後ろから見ていると、その途中にあった企画部から桃子せんぱいが出てきた。



そしたら、その瞬間・・・



「黒住さん!!!」



と、鮫島光一の声が跳ね上がった。
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