【完】雪の上に、犬と猿。たまに男と女。

Bu-cha

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リビングから届く少しの明かりの中、お父さんの影は続ける。

「病院で倒れたしそのまま検査はしてくれるみたいで。
頭も打ってないし電車も終わってるし雪で車も動けないだろうから、病院からは明日来てくれれば大丈夫とは言われてる。」

心臓が大きく騒ぎ出すのを聞きながら、でも口からは何の音も出せない。
ベッドから起き上がることしか出来ない私に、お父さんの影はまだ続けてきた。

「でも、念のためお父さん行ってくるから。」

表情は見えないけれど、声は普通で。

いつも通りの声でお父さんが言う。

「お母さんの状態を見たら連絡するから。
大雪だし、雪枝と正志は家で待ってて。」

そんな言葉だけを残して、お父さんの影は静かに消えていった・・・。

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