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「雪枝?夜ご飯、ハヤシライス。
どうした?具合悪いの?」
その日の夜、夜勤明けのお母さんが夕方に起きて夜ご飯だと呼びに来た。
朝ご飯は結局駿の家に行かなかったし、夜勤明けのお母さんが作ってくれていたお昼ご飯の焼きそばも食べなかった。
私はベッドの布団を被りお母さんの言葉を無視する。
「雪枝?」
そんな私の元にお母さんが近付いてきたのが分かる。
そして布団を少しめくられ、私のオデコにお母さんの冷たすぎる手が当てられた。
その手の冷たさを感じて涙が込み上げてきた。
駿の前でも込み上げてこなかった涙が、初めて込み上げてきた。
お母さんの冷たすぎる手を払いのけて私は泣きながら立ち上がる。
そして、叫んだ。
「お母さんってちゃんとした料理も作れないの!?
いつも手抜き料理ばっかり!!
いつも手抜き弁当ばっかり!!
家族に料理するのもそんなに面倒なの!?
そんな家族ならお父さんと結婚しなきゃよかったじゃん!!
そんな家族なら私のことも正志のことも生まなきゃよかったじゃん!!」
反抗期の時でもこんなことを言ったことはなかったのに、そう叫んだ。
泣きながら叫んだ。
お母さんはビックリした顔で私のことを見ている。
でも私だってビックリした。
お父さんに好きな人どころか奥さんがいたことにビックリした。
それを商店街中の人達が知っていることにビックリした。
お父さんとお母さんが私と正志にだけ秘密にしていたのにもビックリした。
お父さんにとってもお母さんは“本当の奥さん”ではないことに、ビックリした。
「お父さんと喧嘩ばっかりして!!!
酷いことばっかり言って!!!
料理も手抜きで他の家事だって手抜きで!!!
私が手伝うとお礼を言えるのにお父さんにはお礼も言えないの!?」
「絹枝?どうした?」
私が叫んでいたらお父さんが私の部屋に驚いた顔をしながら入ってきた。
その顔は確かに不細工で。
私にとっては格好良く見える大好きなお父さんだけど、顔の作りは確かに不細工で。
なかなか見ないくらいの不細工な顔で。
そんな不細工な顔をしているお父さんには何も言えなかった。
なんだか不細工過ぎて可哀想にも思えて、何も言えなかった。
「絹枝・・・!!!」
お母さんが私の名前を呼ぶのを無視し、私はスウェット姿のまま財布だけを握り締めて家を飛び出した。
「雪枝?夜ご飯、ハヤシライス。
どうした?具合悪いの?」
その日の夜、夜勤明けのお母さんが夕方に起きて夜ご飯だと呼びに来た。
朝ご飯は結局駿の家に行かなかったし、夜勤明けのお母さんが作ってくれていたお昼ご飯の焼きそばも食べなかった。
私はベッドの布団を被りお母さんの言葉を無視する。
「雪枝?」
そんな私の元にお母さんが近付いてきたのが分かる。
そして布団を少しめくられ、私のオデコにお母さんの冷たすぎる手が当てられた。
その手の冷たさを感じて涙が込み上げてきた。
駿の前でも込み上げてこなかった涙が、初めて込み上げてきた。
お母さんの冷たすぎる手を払いのけて私は泣きながら立ち上がる。
そして、叫んだ。
「お母さんってちゃんとした料理も作れないの!?
いつも手抜き料理ばっかり!!
いつも手抜き弁当ばっかり!!
家族に料理するのもそんなに面倒なの!?
そんな家族ならお父さんと結婚しなきゃよかったじゃん!!
そんな家族なら私のことも正志のことも生まなきゃよかったじゃん!!」
反抗期の時でもこんなことを言ったことはなかったのに、そう叫んだ。
泣きながら叫んだ。
お母さんはビックリした顔で私のことを見ている。
でも私だってビックリした。
お父さんに好きな人どころか奥さんがいたことにビックリした。
それを商店街中の人達が知っていることにビックリした。
お父さんとお母さんが私と正志にだけ秘密にしていたのにもビックリした。
お父さんにとってもお母さんは“本当の奥さん”ではないことに、ビックリした。
「お父さんと喧嘩ばっかりして!!!
酷いことばっかり言って!!!
料理も手抜きで他の家事だって手抜きで!!!
私が手伝うとお礼を言えるのにお父さんにはお礼も言えないの!?」
「絹枝?どうした?」
私が叫んでいたらお父さんが私の部屋に驚いた顔をしながら入ってきた。
その顔は確かに不細工で。
私にとっては格好良く見える大好きなお父さんだけど、顔の作りは確かに不細工で。
なかなか見ないくらいの不細工な顔で。
そんな不細工な顔をしているお父さんには何も言えなかった。
なんだか不細工過ぎて可哀想にも思えて、何も言えなかった。
「絹枝・・・!!!」
お母さんが私の名前を呼ぶのを無視し、私はスウェット姿のまま財布だけを握り締めて家を飛び出した。
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