【完】雪の上に、犬と猿。たまに男と女。

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4-10

「呑んだ・・・？
長峰・・・俺の酒、呑んだ・・・？」



呼吸を乱しながら出てきた宝田の言葉は、そんな言葉だった。
これには爆笑しながら答える。



「まだ呑んでない！！
でも、あと少しで呑んじゃうところだった！！
嫁が家を出て実家に帰ったのに、心配するところそこ！？」



「いや、今日実家に帰るだろうなと思ってたから俺もこっちに向かってた。
そしたら途中で真琴から“お兄ちゃんのお酒雪枝と呑む”ってメッセージ届いたから、走って帰ってきた。」



宝田がコートを脱ぎながら、真琴の部屋に入ってきた。



そして、それから真琴が持ってきた純米酒を指差した。



宝多米店の店主、宝田のお父さんが初めて作った純米酒。



ラベルも宝多のお父さんの手書き。



そこまで上手くない字が、筆で書かれている。



そこには、書かれていた・・・。



書かれていた・・・。



“駿と雪”・・・。



そう、書かれていた・・・。



宝多のお父さんが初めて作った純米酒。



そして宝多米店で1番の売上を誇っている商品・・・



それは、お米でも他の純米酒でもなく・・・



それは・・・



それは・・・



宝多と私の名前からとった・・・



“駿と雪”、だった・・・。