273 / 280
14
14-13
しおりを挟む
「うん・・・よく知ってるね・・・。」
私がそう言いながら頷くと、和君は真剣な顔で私のことを見下ろし続ける。
「父さんは松居先生のことをすげー尊敬してて。
その松居先生が、真理のことを“自分が知る中で1番可愛い女の子”って言ってたらしい。」
「・・・おじいちゃんが?」
私にも“おじいちゃん”と呼ぶように言ってくれる“おじいちゃん”が、そんなことを言ってくれていたらしい。
「なんでも、“あの獰猛な珍獣2人を手懐けた最強の女の子”って言ってて・・・。
“薄ピンクのドレッサーの鏡で母親の写真と自分の顔を見比べてる、可愛い女の子”って言ってたらしいんだよな。」
そんな・・・
そんな・・・
家族の誰にも・・・理子にも見せたことがない、言ったこともないことを言われた・・・。
「おじいちゃん・・・なんで、知ってるんだろう・・・。」
「俺も松居先生の空手道場で1年間空手習ってたから知ってるけど・・・。
あの人、なんか見える人だからな。」
「空手・・・おじいちゃんの道場で、習ってたの・・・?」
「うん、今でもたまに掃除したり正座しに行ったりしてる。
世間は狭いよな、まさか松居先生とも繋がってるとは思わなかった。」
そう言われて、私は思わず笑ってしまった。
「“妙ちゃん”が、和君の妹だったしね・・・。
今日も会えるの・・・楽しみ・・・。
お肉、足りるかな・・・?」
「肉なくなったら早く抜けよう・・・。
こんなに可愛い女の子がいたら、やりたくて我慢なんて出来ねーから。」
昨日のメイクの練習で、合わないファンデーションで肌荒れをしてしまった私。
メイクをしていない“別の私”でも、和君は“可愛い”と言ってくれる・・・。
私もそうだった・・・。
“可愛いお母さんは、可愛い。”
“別のお母さんも、可愛い。”
何度も何度も、そう言っていた・・・。
和君を見上げ続けながら、自然と笑顔になる・・・。
「お母さん・・・天国から、見てくれてるかな・・・。」
「見てるだろうな。
可愛い娘が彼氏の家に結婚の挨拶しに行くんだからな。」
そう言ってから、和君が優しい笑顔で笑い掛けてくれ・・・
ずっとずっと気になっていたことを、聞いた・・・。
「中学と高校時代・・・いつも隣に並んでた可愛い女の子・・・彼女じゃなかったの・・・?」
「・・・ああ、それ従姉妹。
母親の方ので名字も違うから、付き合ってるとか誤解されまくりで。
で、うちの会社の受付にいる1人、そいつだぞ?」
「え・・・!?
あの・・・“おめでとう”って言ってくれた子・・・?」
「そうそう、ちなみに俺が一人暮らししてる部屋の隣に住んでるから、ばったり会うかも。」
そんな驚くけど安心も出来た言葉を貰え・・・
やっと、扉を開いてくれた・・・。
約14年ぶりに、扉が・・・
開いた・・・。
「え・・・!?
真理ちゃんなの・・・!?」
.
私がそう言いながら頷くと、和君は真剣な顔で私のことを見下ろし続ける。
「父さんは松居先生のことをすげー尊敬してて。
その松居先生が、真理のことを“自分が知る中で1番可愛い女の子”って言ってたらしい。」
「・・・おじいちゃんが?」
私にも“おじいちゃん”と呼ぶように言ってくれる“おじいちゃん”が、そんなことを言ってくれていたらしい。
「なんでも、“あの獰猛な珍獣2人を手懐けた最強の女の子”って言ってて・・・。
“薄ピンクのドレッサーの鏡で母親の写真と自分の顔を見比べてる、可愛い女の子”って言ってたらしいんだよな。」
そんな・・・
そんな・・・
家族の誰にも・・・理子にも見せたことがない、言ったこともないことを言われた・・・。
「おじいちゃん・・・なんで、知ってるんだろう・・・。」
「俺も松居先生の空手道場で1年間空手習ってたから知ってるけど・・・。
あの人、なんか見える人だからな。」
「空手・・・おじいちゃんの道場で、習ってたの・・・?」
「うん、今でもたまに掃除したり正座しに行ったりしてる。
世間は狭いよな、まさか松居先生とも繋がってるとは思わなかった。」
そう言われて、私は思わず笑ってしまった。
「“妙ちゃん”が、和君の妹だったしね・・・。
今日も会えるの・・・楽しみ・・・。
お肉、足りるかな・・・?」
「肉なくなったら早く抜けよう・・・。
こんなに可愛い女の子がいたら、やりたくて我慢なんて出来ねーから。」
昨日のメイクの練習で、合わないファンデーションで肌荒れをしてしまった私。
メイクをしていない“別の私”でも、和君は“可愛い”と言ってくれる・・・。
私もそうだった・・・。
“可愛いお母さんは、可愛い。”
“別のお母さんも、可愛い。”
何度も何度も、そう言っていた・・・。
和君を見上げ続けながら、自然と笑顔になる・・・。
「お母さん・・・天国から、見てくれてるかな・・・。」
「見てるだろうな。
可愛い娘が彼氏の家に結婚の挨拶しに行くんだからな。」
そう言ってから、和君が優しい笑顔で笑い掛けてくれ・・・
ずっとずっと気になっていたことを、聞いた・・・。
「中学と高校時代・・・いつも隣に並んでた可愛い女の子・・・彼女じゃなかったの・・・?」
「・・・ああ、それ従姉妹。
母親の方ので名字も違うから、付き合ってるとか誤解されまくりで。
で、うちの会社の受付にいる1人、そいつだぞ?」
「え・・・!?
あの・・・“おめでとう”って言ってくれた子・・・?」
「そうそう、ちなみに俺が一人暮らししてる部屋の隣に住んでるから、ばったり会うかも。」
そんな驚くけど安心も出来た言葉を貰え・・・
やっと、扉を開いてくれた・・・。
約14年ぶりに、扉が・・・
開いた・・・。
「え・・・!?
真理ちゃんなの・・・!?」
.
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる