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どうすればいいのか乱れまくる精神の中で考え続け・・・
“岩渕さん”と一緒に、牛丼のテイクアウトの袋を持ち牛丼屋を出た。



そしたら・・・
“岩渕さん”が牛丼屋の前で俺を見上げた・・・。
小学生の頃に別れていたこの場所で、約14年ぶりに俺を見上げた・・・。



“岩渕さん”の嬉しそうな笑顔を見て、分かった・・・。



ここで・・・
昔と同じこの場所で、今日も別れるのだと分かった・・・。



それが分かり、俺はまた気合いを入れて口を開いた・・・。



「牛丼食べるのもう少し待てるか?
俺の家まで一緒に来て欲しい・・・。
これ俺の妹の牛丼で、渡さないといけねーから帰らないといけなくて。
その時にお金返すから・・・。」



どうにか・・・どうにか、繋げたかった・・・。



小学生の頃はここで別れていたけど、大人になった今はこの先に繋げたいと思った・・・。



でも、“岩渕さん”は・・・



「私の方の牛丼、これも弟2人とお父さんので。
楽しみに待ってると思うので私も帰ります。」



そう言って、やっぱり終わろうとする・・・。



「いや・・・でも、お金返したいから・・・。
何か・・・メモ、待って・・・連絡先・・・。」



乱れたまくっている精神の中、閉店作業を始めている牛丼屋へまた入ろうと・・・“岩渕さん”に背中を向けた・・・。



そしたら・・・



その時・・・



「何処かでばったり会ったらまた声を掛けます!!」



そう言った・・・。



“岩渕さん”が、そう言った・・・。



“岩渕さん”のその言葉に・・・俺は振り返った・・・。



「だから、貴方も私とばったり会ったら声を掛けてください。」



“貴方”と・・・。
“岩渕さん”が俺のことを“貴方”と呼んだ・・・。
スマホの中の“岩渕さん”が言っていた・・・。
俺は“忘れている”と・・・。



だからか、俺が“岩渕さん”に気付いていないと思っているのか・・・。



「ばったり・・・会ったら・・・。」



俺が繰り返した小さな言葉に、“岩渕さん”は可愛い笑顔で見詰めていて・・・。



そんな可愛い笑顔を見て・・・



“武装”というのが出来ているのだと思った。



スマホの中で“まり姉”と“リコ”が言っていたから。
女の子はメイクをすれば、なりたい自分になれるらしい・・・。



そんなことをグルグルと思い出していると、“岩渕さん”がまた口を開いた・・・。



「“今度”会った時にお財布を持ってたら、その時にお金を返してくれれば大丈夫です!」



“今度”と・・・“今度”と、そう言った。



次にその“今度”がいつ訪れるかは分からないのに・・・。



約14年前、俺が託した“今度”・・・。



信用は出来ないかもしれないけど、ゼロではない“今度”と・・・。
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