【完】可愛くて美味しい真理姉

12

12-22

小学校3年生、春・・・。



「“和”っていうか“和雄”っていうか、ただの“雄”だね！」



クラス替えで同じクラスになった増田が今日も俺についてきて、そんなことを言ってくる。



「いつも聞いてるけど、なんだよそれ？」



笑いながら今日も聞くと、増田が俺のことをニヤニヤとしながら見てくる。



「だって、好きな女の子が虐められてるのを守るために“男”っていうか、“雄”って感じだから！」



「全然分からない・・・。」



「でも、あれって和雄が守ってるから余計女の子達がムキになってるだろ、絶対！！」



「それは分かってる・・・。
でも、精神が揺れ動きすぎて止まらないし、俺なりに“優しく”しようとするとああなる。
・・・てか、別に好きとかそういうのではないけど。」



「そこ突っ込むの遅っっ！！」



増田が大笑いしながら俺の横に並んできた。
気が付いた時には、増田はよく俺と一緒にいるようになった。



「和雄は凄いよね。
“和”が取れて“雄”だけになっても、それでも皆好きでいてくれて。
それって、凄い幸せなことだよね。」



そう言いながら、気持ちが良いくらいの笑顔を向ける増田・・・。



いつでも気持ちが良いくらいの笑顔でいる増田・・・。



そんな増田とこれから長い付き合いになるとは、この時はまだ想像もしていなかった・・・。