【完】可愛くて美味しい真理姉

12

12-11

「守る為に・・・？誰を・・・？」



「そんなの、自分が守りたいと思ったモノに決まってるだろ。
人だろうと動物だろうと物だろうと。
俺は松居先生からそう教わった。」



「松居先生・・・？」



「近所にある空手道場の先生で、後から知ったけどデカイ会社の社長さん。」



父さんがそんなことを言った後、俺のことを嬉しそうな顔をして見てきた・・・。



「お前が守りたいと思ったモノが、その時のお前の“正義”だ。
それを守る為ならぶん殴ってでも守ってこい！！」



「そんなことしたら・・・先生に怒られるでしょ・・・。」



「それでも堂々としておけ！！
自分が正しいと思ったことをしてるなら、堂々としておけばいいんだよ！！
自分が思ってることを言えないような小さい奴になるな！！
そんなんじゃ社長は継がせないからな！！」



父さんがそんなことを言ったら、母さんがキッと父さんを睨み付けた。



「お父さんはもっと人の意見を聞いてよ！！
会社じゃどうか知らないけど、妙子のことになるといつも顔のことしか言わない！！」



「あれだけ顔が可愛ければそれだけで才能なんだよ！！
集団生活が何だよ、くだらない！！
皆と同じことをして同じことを考えるよう教育されたら、新しい視点で考えて発言し実行する力が育まれないだろ！！」



「でも、それが求められてる！！
普通でいることを社会は求めてるから！！」



「俺はそんなの求めてねーよ！！！！」



母さんの言葉に、父さんはいつもよりもっと大きな声を出した。
2人とも、“優しく”をしている・・・。
妙子にとって、“優しく”を・・・。



「和雄、お前はどう思う？
妙子のこと、どう考える？」



父さんが俺の意見を聞いてきた・・・。
初めて、俺に意見を聞いてきた・・・。