【完】可愛くて美味しい真理姉

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岩渕さんが学校に登校してきたのは、それから1ヶ月が経った時だった。



「岩渕さん、おはよう！」



クラスで目立っている女の子2人が、岩渕さんが机に着いたら早速声を掛けていた。
それを何となく横目で見ていたら・・・岩渕さんは少し笑いながらその2人に挨拶を返していた。



その後に3人で和やかに会話をしていたので、先生が言った通り“優しく”している女の子達がいて良かったなと安心していたら・・・。



「岩渕さん、今日は髪の毛結んでないんだね？」



と、聞いていて・・・。
確かに、いつも結んでいたのに今日は結んでいない。
それどころか少し寝癖がついている。



お母さんが結んでくれていたんだなと、その姿を見て分かった時・・・
岩渕さんが背中まで伸びた髪の毛を触りながら答えた。



「いつもはお母さんが結んでくれてたんだけど。
自分ではまだ結べないから練習中なんだ。」



そう・・・



小さく笑いながらだけど、顔をしっかりと上げて答えていた・・・。



なんとなく、その姿が印象的で・・・



しばらく目が離せないでいたら、女の子のうちの1人がその質問をした女の子を少し睨んだ。



「岩渕さんはお母さんが死んじゃったって先生言ってたじゃん！
お母さんのこと出したら岩渕さん可哀想でしょ！！
優しくしてあげてって先生が言ってたのに！！」



「岩渕さん・・・ごめんね？」



そんなことを・・・



そんな、“優しく”を・・・



この女の子達なりの“優しく”を、岩渕さんにしていて・・・



岩渕さんはそんな2人に驚いた顔をして・・・



そして・・・



泣いてしまった・・・。



次から次へと涙が流れていて・・・



女の子2人は焦りながら岩渕さんに謝っていて・・・



岩渕さんもそれに謝りながら、前を向きながら・・・



流れている涙を両手で拭っていた・・・。



クラス中の生徒達がその光景を見ていて、俺が思ったことは1つで・・・



“先生”だからといって、正しいことを言うわけではないということ・・・。



だからきっと・・・俺の両親も・・・



親だからといって、いつも正しいことを言うわけではないということを・・・自分の中でフッと思えた。



それに少しだけ、いつも引っ掛かっていた気持ちが楽になった・・・。



楽になりながらも、前を向きながら涙を流し続ける岩渕さんをなんとなく見ていた・・・。