【完】可愛くて美味しい真理姉

12

12-2

小学校1年生 春



「岩渕さんのお母さんが、死んでしまいました。
みんな、死んでしまうって分かる？」



小学校に入学して少し経ってから、先生が朝の学活でそう聞いてきた。
それに何人かの女の子達が手を上げて答えている。



岩渕さん・・・。
目立たない女の子だけど、いつも髪の毛が手の込んだ結び方だったので俺も知っていた。
妹の妙子は肩まで伸ばした髪の毛をいつも振り乱しているようなタイプだから、そんな結び方があるのかと驚いたから。



そんなことを思い出しながら、教室の前に立つ女の先生を見ていると・・・



女の先生がクラスを見渡しながら少し力強く言った・・・。



「岩渕さんが学校に来たら、優しくしてあげてね。」



そんな先生の言葉に、何人かの生徒は声を出して返事をしていた。



でも、俺は・・・



お母さんが死んでしまったということと、だから優しくすることがどうしてイコールになるのかが引っ掛かった・・・。



引っ掛かったけど・・・



先生が言うことなのでそれが正しいと、素直に聞き入れようとした。