【完】可愛くて美味しい真理姉

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「岩渕真理。」



そんなことをグルグルと考え続けていたら、葛西さんが私の名前を呼んできた。
フルネームで、呼んできた。



「コミュ障ならコミュ障らしく、コミュ障の誇りを持って好きな奴にガンガンいってこい！！」



そんな・・・難しいアドバイスをしてきて・・・



「相手はお前のことを全部知ってて付き合ってたんだろ、そんな相手コミュ障でも楽勝だろ！！」



「楽勝・・・なんですか？
でも・・・とにかく、恥ずかしくて・・・。」



「あれを見てるって伝えたあの人も恥ずかしいだろ！！
自分のことを大好き大好き和君和君言ってる動画だろ！！
お互い様だよ、開き直れ！！」



そんなことを言われてしまい・・・



「ガンガンいってこい！！
妹の力も大きいけどな、動画の世界で有名になれるくらいの魅力がお前にはちゃんとあるんだよ！！
そんなお前だから、あんな大企業の社長の息子が・・・副社長がお前のこと好きになったんだろ！！」



葛西さんがテーブルに置いたスマホの画面を人差し指でトントンッと叩く。



「いくら大企業でもな、社長の息子なんて金持ちのボンボンなんだよ。
大企業の社長の息子で元副社長だった俺が言うから間違いない。
生まれつきの金持ちのボンボンなんて、心が弱くもあるんだよ。
だから、お前みたいな強さをあの人は求めたんだろうな。」



「私みたいな、強さ・・・？」



現実世界を生きられなかった弱い私を、葛西さんがそんな風に言ってくる・・・。



「あの人に必要で、でも持っていなかった強さがお前にはあったんだろ。
俺がそうだったから分かる、俺にとってそれは真知子だったから。」



葛西さんが奥さんのことをそう言ったかと思ったら、スマホの画面をまたトントンッと叩き・・・。



「ここから出てこい、岩渕真理。
ここから出て、この世界でもガンガンいってこい。」



葛西さんが・・・



そう言ってくれる・・・。



この現実世界で初めて、私を応援してくれた葛西さんが・・・。



そんな、私にとって大切な人が・・・。



“私”を・・・



“岩渕真理”を・・・



この世界に・・・



引っ張り出して、くれる・・・。





真理side.........