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「それは、恥ずかしいな・・・!!」



葛西さんまでそう言ってきて、私は何度も大きく頷いた。



「俺はお前が初めて来た日に動画を1本見ただけだけど、それでも“和君”“和君”言ってたもんな。」



「そうなんです・・・。
妹が、私が和君への想いを口にしている場面を、毎回多く入れていて・・・。」



「しかもこの歳になって小学生の頃の初恋だもんな!!
・・・俺もお前のこと言えねーけど!!」



葛西さんがそんなことを言って、スマホを操作した。



そしたら・・・



理子の声が・・・



葛西さんのスマホから流れてきた・・・。



『えー!?
家事代行の派遣先、和君の家だったの!?』



理子の声にビクッとしていると、葛西さんがニヤッとしながら私を見てきた。



「チェックしておけばよかった。
美容と料理とコミュ障の昔の初恋話のチャンネルかと思ってたら、お前から上がってこなかった報告までこの動画に上がってるな。」



「すみません・・・。」



私が謝る間も、葛西さんは動画を止めず・・・。



『良かったじゃん!!
知らない人の家に派遣されるより、彼氏の家に派遣されて!!』



『・・・仕事だし、気付かないフリをして仕事したよ・・・。
それに・・・和君から個人的に関わらないようにって・・・好きにならないようにって、注意事項が出てる・・・。』



『それは、派遣されてくるのが真理姉だって知らなかったからでしょ?』



『うん・・・知らない・・・。
和君は何も知らない・・・。
“私”が“私”だって、知らない・・・。
知られたくない・・・。
“岩渕さん”だって、知られたくない・・・。』



『何でそんなに知られたくないの?
もうここでばったり会ったことだし、知られていいんじゃない?』



『好きだから・・・知られたくない・・・。
“ありがとう”で終わった“岩渕さん”だって、知られたくない・・・。
私・・・昔の和君も今の和君のことも好きで・・・大好きで・・・。
だから別れないと・・・早く、別れないと・・・。』



『そう言ってもう2ヶ月以上経って・・・それで和君の家に派遣されたってことだね!!
別れ話をしようと思ったタイミングでいつも和君から愛の連絡が来て、言うタイミングを逃しまくってるからね!!』



『うん・・・言えないよ・・・。
あんなに愛してくれてるような連絡がくると・・・言えなくなるよ・・・。』



目の前で葛西さんから動画を見られるのは2回目で・・・。
今回も恥ずかしい気持ちになっていたら、ここで葛西さんが動画をやっと停止した。
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