【完】可愛くて美味しい真理姉

Bu-cha

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それには驚く・・・。
それには驚くし・・・嘘だと知っている・・・。
中学の時、凄く可愛い女の子と付き合っていた・・・。
その女の子とは高校の時も歩いているのを見掛けていた・・・。



“彼女”だと、私の中学でも話題になっていた・・・。



こんな嘘を言われ、下を向いてしまいたくなった・・・。
こんな嘘を言う人だと分かり、下を向いてしまいたかった・・・。



でも、お母さんとの約束があるから・・・



それでも顔を上げる・・・。



顔を上げて和雄君の顔を見続ける・・・。



そしたら・・・



和雄君が照れたように笑って・・・



「ずっと片想いしてた女の子がいて・・・。
その女の子以上の子が俺にはいなくて、誰とも付き合えないまま26歳になったヤバい男ではあるんだよな。」



そんなことを言ってくるので、中学と高校時代に和君の隣に並んでいた可愛い女の子を思い浮かべる。
凄く、可愛い女の子を・・・。



「私は・・・その女の子以上じゃないかもしれないよ?」



私がそう聞くと、和雄君が重なっている私の手をギュウ────...と握ってきた。



「付き合って・・・。
俺と、付き合って・・・。
信用出来る男になるから・・・。
絶対に真理から離れないで、信用出来る男になるから・・・。」



私の質問には答えず、和雄君がそんなことを言ってくる・・・。



“可愛い私”にだけど、“私”にそんなことを言ってくる・・・。



そんなことを言ってくれる・・・。



離れないでいてくれるらしい・・・。



“私”と、離れないでいてくれるらしい・・・。



そして、信用出来る男の人になってくれるらしい・・・。



「真理・・・。」



“和”君が・・・“和雄”君が・・・



私を“真理”と呼ぶ・・・。



私を、“真理”と呼んでくれる・・・。



そして・・・



そして・・・



熱い眼差しで・・・



そんな目で、“私”を見詰めて・・・



「好きだよ・・・。」



そう、言って・・・



会ったばっかりなのに、そう言って・・・



“私”は和君の片想いの女の子以上らしい・・・。



“私”のメイクはその女の子以上に可愛くなれているらしい・・・。



「俺と・・・付き合って・・・?」



“和雄君”の熱い目に、ほんの少しだけ涙が浮かんでいるのが見えた・・・。



顔を上げていたから、それが見えた・・・。



そんな“和雄”君の初めて見る目を見ながら・・・



“私”は・・・



“可愛い私”は・・・



頷いた・・・。



頷いてしまった・・・。



詐欺だった・・・。



こんなの詐欺だった・・・。



詐欺メイクをして可愛くなった“岩渕さん”の、詐欺だった・・・。



とても嬉しそうに笑う“和雄”君の顔を眺めながら・・・



“可愛い私”の中にいる“岩渕さん”は、泣いていた・・・。



12時になったら魔法はとけてしまうから・・・。



可愛くなりたかった・・・。



私はずっと可愛くなりたかった・・・。



魔法がとけた後も可愛いままでいられるくらい、それくらい可愛い女の子になりたかった・・・。
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