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“和”君ではなくて、“和雄”君なのだと思う・・・。
だって、こんな風な“和”君をやっぱり私は知らない・・・。
“岩渕さん”は知らない・・・。
私が“岩渕さん”だと気付かず、きっと“岩渕さん”のことも忘れている“和雄”君の顔を見詰める・・・。
苦しいのに、嬉しくて・・・。
悲しいのに、嬉しくて・・・。
悔しいのに、嬉しくて・・・。
泣きそうになるくらい、嬉しくて・・・。
顔を上げ続けて和雄君を見詰める・・・。
「会ったばっかりなのにそんなこと言うんだ?」
「・・・12時まであと10分しかない。
ここを逃したら、“今度”はないかもしれないからな・・・。
ここでちゃんとした関係にならないと、いくら連絡先を知ってても・・・連絡が取れなくなったら終わる・・・。」
私が両手で持っているホットのお茶、その両手の上に和雄君の大きな手が重ねられた・・・。
「会ったばっかりでこういうこと言う男は信用出来ない・・・?」
「・・・信用出来ないわけではないけどね。」
信用出来ないわけではなかった・・・。
ただ、全然違うんだなと・・・。
“可愛い私”だと、こんなにも違うんだなと・・・。
“ありがとう”で終わっていたのに・・・。
“岩渕さん”はありがとうで終わっていたのに・・・。
和君はスマホを持っていたのに、和君の連絡先を教えてくれることもなかった・・・。
信用出来ない“今度”と言って・・・
“ばったり会ったら”と言って・・・
何もなかった・・・。
“岩渕さん”とは何もちゃんとした“何か”はなかった・・・。
そんなことを“和雄”君の顔を見ながらグルグルと考えていたら・・・
和雄君が真剣な顔のまま、また口を開いた・・・。
「俺、今まで誰とも付き合ったことないから。」
.
だって、こんな風な“和”君をやっぱり私は知らない・・・。
“岩渕さん”は知らない・・・。
私が“岩渕さん”だと気付かず、きっと“岩渕さん”のことも忘れている“和雄”君の顔を見詰める・・・。
苦しいのに、嬉しくて・・・。
悲しいのに、嬉しくて・・・。
悔しいのに、嬉しくて・・・。
泣きそうになるくらい、嬉しくて・・・。
顔を上げ続けて和雄君を見詰める・・・。
「会ったばっかりなのにそんなこと言うんだ?」
「・・・12時まであと10分しかない。
ここを逃したら、“今度”はないかもしれないからな・・・。
ここでちゃんとした関係にならないと、いくら連絡先を知ってても・・・連絡が取れなくなったら終わる・・・。」
私が両手で持っているホットのお茶、その両手の上に和雄君の大きな手が重ねられた・・・。
「会ったばっかりでこういうこと言う男は信用出来ない・・・?」
「・・・信用出来ないわけではないけどね。」
信用出来ないわけではなかった・・・。
ただ、全然違うんだなと・・・。
“可愛い私”だと、こんなにも違うんだなと・・・。
“ありがとう”で終わっていたのに・・・。
“岩渕さん”はありがとうで終わっていたのに・・・。
和君はスマホを持っていたのに、和君の連絡先を教えてくれることもなかった・・・。
信用出来ない“今度”と言って・・・
“ばったり会ったら”と言って・・・
何もなかった・・・。
“岩渕さん”とは何もちゃんとした“何か”はなかった・・・。
そんなことを“和雄”君の顔を見ながらグルグルと考えていたら・・・
和雄君が真剣な顔のまま、また口を開いた・・・。
「俺、今まで誰とも付き合ったことないから。」
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