【完】可愛くて美味しい真理姉

Bu-cha

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私が住んでいる社宅のマンション。
その帰り道を和君の隣に並んで歩く。
あの頃は牛丼屋の道に続きはなかったけれど、今日は続きがあった。



「真理は土日休み?」



「うん、土日休みだよ。」



「・・・仕事、何してる?」



それには少し悩み・・・



「家事代行の研修中かな。」



そう答えた。



「和雄君は?」



「俺は・・・」



スーツを着ているので会社員だとは思うけど、何の仕事をしているのかは知らないのでそう聞いた。



和君は言葉を切った後、少しだけ無言になり・・・



「俺さ、的場製菓っていう会社に勤めてて。
なんていうか・・・社長の息子なもんで、今年副社長に就任したんだよな。」



その言葉には驚いた・・・。
でも・・・言われてみれば、和君から貰っていたお菓子の会社・・・それは“的場”製菓で・・・。



中学生までしかお菓子を食べていなかったので、“和君の名字と同じだな”としか思っていなくて。
和君と同じ名字のそのお菓子を食べることで、私は身体も心も少しだけ満たされていた。



「的場製菓のお菓子、私大好きなんだ。」



和君から貰っていた特別なお菓子・・・。
そして、和君と会えなくなってからも、中学生の私でも手に入れることが出来たお菓子・・・。



そう答えた時、私が住む社宅のマンションの前に着いた。
和君は、何故かマンションを嬉しそうな顔で見上げていた・・・。
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