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和君の隣に並び、牛丼のテイクアウトの袋を持ち牛丼屋を出た。
それから、牛丼屋の前で和君を見上げる。
小学生の頃にバイバイをしていたこの場所で、14年ぶりに和君を見上げる。
バイバイのこの場所が“今度”の場所になったことに自然と笑いながら・・・。
そしたら、和君が真剣な顔で私を見詰めてきて・・・
「牛丼食べるのもう少し待てるか?
俺の家まで一緒に来て欲しい・・・。
これ俺の妹の牛丼で、渡さないといけねーから帰らないといけなくて。
その時にお金返すから・・・。」
そんなことを言ってきた。
和君は妹の牛丼を買いに来ていたらしい。
お肉好きな和君の妹は、今でもお肉が好き・・・。
14年も経つのに変わらない和君の妹。
それには嬉しい気持ちになって笑った。
「私の方の牛丼、これも弟2人とお父さんので。
楽しみに待ってると思うので私も帰ります。」
「いや・・・でも、お金返したいから・・・。
何か・・・メモ、待って・・・連絡先・・・。」
和君が慌てた様子で、閉店作業を始めている牛丼屋へまた入ろうと・・・私に大きくなった背中を向けた。
だから、その大きな背中に向かって声を挙げた・・・。
「何処かでばったり会ったらまた声を掛けます!!」
そう言った私の言葉に、和君がゆっくりと振り返った。
「だから、貴方も私とばったり会ったら声を掛けてください。」
「ばったり・・・会ったら・・・。」
小さな声で呟いた和君が、揺れているように見える瞳で私を見詰めてくる・・・。
そんな初めて見る和君の瞳を見ながら、最後に言った。
「“今度”会った時にお財布を持ってたら、その時にお金を返してくれれば大丈夫です!」
“今度”と・・・“今度”と、そう言った。
次にその“今度”がいつ訪れるかは分からないけれど・・・。
信用出来ない“今度”だけれど・・・。
でも、その“今度”が叶った・・・。
14年も経ってしまったけれど、叶った・・・。
それから、牛丼屋の前で和君を見上げる。
小学生の頃にバイバイをしていたこの場所で、14年ぶりに和君を見上げる。
バイバイのこの場所が“今度”の場所になったことに自然と笑いながら・・・。
そしたら、和君が真剣な顔で私を見詰めてきて・・・
「牛丼食べるのもう少し待てるか?
俺の家まで一緒に来て欲しい・・・。
これ俺の妹の牛丼で、渡さないといけねーから帰らないといけなくて。
その時にお金返すから・・・。」
そんなことを言ってきた。
和君は妹の牛丼を買いに来ていたらしい。
お肉好きな和君の妹は、今でもお肉が好き・・・。
14年も経つのに変わらない和君の妹。
それには嬉しい気持ちになって笑った。
「私の方の牛丼、これも弟2人とお父さんので。
楽しみに待ってると思うので私も帰ります。」
「いや・・・でも、お金返したいから・・・。
何か・・・メモ、待って・・・連絡先・・・。」
和君が慌てた様子で、閉店作業を始めている牛丼屋へまた入ろうと・・・私に大きくなった背中を向けた。
だから、その大きな背中に向かって声を挙げた・・・。
「何処かでばったり会ったらまた声を掛けます!!」
そう言った私の言葉に、和君がゆっくりと振り返った。
「だから、貴方も私とばったり会ったら声を掛けてください。」
「ばったり・・・会ったら・・・。」
小さな声で呟いた和君が、揺れているように見える瞳で私を見詰めてくる・・・。
そんな初めて見る和君の瞳を見ながら、最後に言った。
「“今度”会った時にお財布を持ってたら、その時にお金を返してくれれば大丈夫です!」
“今度”と・・・“今度”と、そう言った。
次にその“今度”がいつ訪れるかは分からないけれど・・・。
信用出来ない“今度”だけれど・・・。
でも、その“今度”が叶った・・・。
14年も経ってしまったけれど、叶った・・・。
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