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私を見下した目で、なのに笑顔で・・・。
小さな声でそんなことを言ってきて・・・。



「“個人的な関係の女性が来る”って聞いたから彼女なんだってすぐ分かったけど。
少し前から彼女出来たことは知ってたし。
なのに来たのがコレって全然笑えない。」



美人な女の人がそんなことを言い出して、何て言えばいいのかただただ困っていると・・・



「先輩・・・それは失礼です・・・。」 



対応を終えていた可愛い女の子が恐る恐る声を出してきた。
そして私のことをジッと見てきて・・・



「弊社の副社長、的場和雄のお宅の家政婦さんでいらっしゃいますよね?」



と、言ってきた・・・。



とっても可愛い顔で・・・
黒髪で色白、大きな二重瞼の可愛い女の子で・・・。
赤いリップの・・・可愛い女の子で・・・。



そんな可愛い女の子が優しい笑顔で私に笑い掛けてくれた。



「少しそのお話は知っておりました。
家政婦の方でいらっしゃいますよね?」



そう聞かれ・・・



そう、聞かれて・・・



「はい・・・。」



小さく・・・小さく・・・頷いた。



美人な女の人からは平謝りされ・・・。
「実は和雄さんのことが好きで」と言われ・・・。
「家政婦を雇ったことなんて知らなかった。
何で知ってるの?
もしかして・・・あなたが彼女なの!?」
と、可愛い女の子に聞いていて・・・。



可愛い女の子は困った顔で首を横に振っていた・・・。



「少し知っていただけで・・・。」
そう言って、首を横に振っていた・・・。



可愛かった・・・。



顔も髪型も体型も雰囲気も、可愛かった・・・。



そんな可愛い女の子が私に優しくしてくれて・・・



性格も良い可愛い女の子だった・・・。



可愛い女の子を前髪の隙間からもう1度見て・・・
来客名簿に記入をした後にキーカードを受け取った・・・。



小さくお辞儀をしながら可愛い女の子の大きな目と赤いリップをもう1度見る・・・。



もう1度だけ見て・・・



「リップ・・・ローズベージュ・・・試してみてください・・・。
ヌーディーリップの、ローズベージュ・・・。」



気付いた時にはそんなことを言ってしまっていた・・・。
初めて・・・誰かにそんなことを言ってしまった・・・。



化粧を練習しているから・・・。
私は化粧を練習していて・・・。



現実世界で親切にしてくれたこの可愛い女の子に、思わずこんな余計なお世話みたいなことを言ってしまった・・・。



この可愛い女の子はとても驚いた顔をして・・・
そして、凄く嬉しそうな顔で大きく頷きお礼を言ってくれた・・・。
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