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「行ってきます、まり姉。」



「行ってらっしゃいませ・・・。」



スーツ姿になったお客様を玄関で見送る。
お客様は嬉しそうな顔で私を見ていて・・・
視線を逸らしてしまいたい気持ちになったけれど、前を向いてお客様を見上げ・・・
それからお辞儀をした。



少ししてから玄関の扉が閉まる音が聞こえ、それから頭をゆっくりと上げる。



「よし・・・、仕事・・・。」



少し呼吸を整えてから洗面所へ向かった。



そして、鏡に映った自分の顔を見る。



黒い髪の毛は後ろの低い位置でお団子にしている。
そこまで厚みのない前髪は目よりも3センチ長い長さまで伸ばしている。



その長い前髪を手に取り・・・



頭の上であとがつきにくいピンで止めた。



そしたら、私の顔がよく見えるようになった・・・。



二重の線がうっすらとあるだけの眠そうな目、
鼻も低めで全体的にのっぺりとした顔。
肌は真っ白で肌荒れはしていない・・・。



でも・・・



ソバカスがある。
目より3センチ下に、ソバカスが広がっている。



そんな自分の顔が露になった。
可愛くない自分の顔が露になった。
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