【完】FUJIメゾン・ビビ~インターフォンを鳴らして~

Bu-cha

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「僕は・・・どこに行きたいんだろう・・・」



「どこでもいいわよ?」



「そっか、ありがとう・・・」




僕には、意思がない。
僕は“影”だから。
僕が意思を持つことは許されないから。




「大丈夫よ、線路は続いてるから。
どこにだって行けるのよ。」




驚く僕を見ながら、この子は大笑いして立ち上がった。




「もしも“アナタ”が思い付かなくても、私が連れていってあげるわ。」




この子につられるように僕も笑い、立ち上がった。




「着替えるから、少し待ってて?」





「いいじゃない。このまま行きましょうよ。」





「このまま・・・?でも、部屋着だし。」





「いいじゃない。そんな日があっても。」





そう言いながら、この子が扉を開けるから・・・





僕は慌てて財布と鍵だけを持って、この子を追いかけた。










スマホを忘れたことなんて初めてで・・・そんなミスをするなんて、僕はすごく急いでいたらしい。
この子を追いかけるのに・・・。






“FUJIメゾン・ビビ”




その日から・・・
僕の部屋の中で、この子が僕を“アナタ”と呼んでくれる・・・。





仕事から帰り、スーツを脱ぎながら扉を眺める・・・。





今日は、来てくれるだろうか・・






会いたい・・・






僕は、あの子に会いたい・・・







僕は、あの子に会いたい・・・








会いたい・・・







会いたい・・・

















インターフォンを、鳴らして・・・

















藤岡智side.......
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