【完】FUJIメゾン・ビビ～インターフォンを鳴らして～

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電車が、大好きだった・・・。



電車に乗ると、どこまででも行けるような気がするから・・・。



楽しい所へ、行けるような気がするから・・・。



でも・・・




「次は坊の行きたい所、行こうな！
考えとけよ？」




「ありがとう・・・」




行きたいと思う所も、思い付かない・・・



例えあったとしても、僕には言えない・・・



そうなるように、育てられたから・・・



僕は、あの大きな会社の“影”。



僕が意思を持ち、僕が発言することは、許されない・・・。



そうやって、育てられたから。



小さな頃からずっと、そうやって育てられたから。




“坊の行きたい所行こう”
僕が答えられないのを分かっているのに、このオジさんだけはそう言ってくれる・・・。