上 下
138 / 262
7

7-17

しおりを挟む
私も、優男を強く抱き締める・・・




「大丈夫よ、待ってるから。
どちらかが死ぬ直前まで、私は待ってるから・・・。」




「うん・・・その言葉、この前聞いて痺れたよね。」




「アナタ、単純ね。」




「思ったより、僕は普通の男なのかも。」




「実は、私も普通の女だったみたいよ?」





最後に優しくキスをしてくれ、急いで仕事に戻っていった・・・。




優男の後ろ姿を眺めながら思う・・・。




きっと、大急ぎで来てくれたから・・・




あの人は、忘れていたみたい・・・。





社章バッジを外すのを・・・。





あんなに大手の、一流の企業に勤めていて、何を必死に隠しているのか・・・。





何があの人をあんなに難しい人にしてしまったのか・・・。





私にはサッパリ思い付かないけど、死ぬ直前まで待ち続けていようと思う・・・。
しおりを挟む

処理中です...