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私は笑いながら、この人の怖い顔を両手で掴む。



「良い表情出来るじゃない。」



声を上げて笑う私に、優男に戻ったこの人が不思議そうな顔をしている。



「いつものムシャクシャしてくる顔より、今みたいな怖い顔の方がずっと良いわよ?」



「・・・怖い顔?僕、怖い顔してた?」



「おかしな人ね。自分で分からないの?」




私は立ち上がり、ホットミルクのカップをこの人に渡す。




「私よりも、アナタの方が必要になったわね。」




優男が困った顔で笑いながら、カップを受け取った。




「大丈夫よ。うちにはあんなオッサンのセクハラに負けるような女の子はいない。
それに、私は1人でだって大丈夫。」
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