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花崎さんから促され、自己紹介とこれまでの経歴を話していく。
その間、花崎さんは1度も動くことなく、主張することのない目でジッと私を見てきた。



妙に、ソワソワとする。



「ありがとうございます。
とてもよくまとまった、綺麗なお話でした。
この短時間ですが、あなたがやってきたお仕事を覗くことができました。」



妙に、ソワソワとする・・・
褒められているようで、そうは思えない・・・。



面接は得意な方だから、何を伝えるかピックアップ出来ているはず。
これまでした3社の面接でも、これだけで手応えはあった・・・




「素敵な会社にお勤めでしたね。
弊社とは違うタイプの下着を扱っていらっしゃって。
ランジェリー業界に絞って応募されているんですか?」



「はい・・・。
私が1番好きな物は化粧なんですが、次に好きな物が下着ですので。」



妙に、ソワソワとする・・・



「1番好きなのはお化粧なんですね。
とても素敵にお化粧されています、とても。
それでも、ランジェリー業界に絞ったんですね。」



「はい・・・。
私は・・・、私が化粧を1番好きなのは、それが私を美しくしてくれるからです。
私以外の誰かを美しくしようとは思ったことはありません。
なので、2番目に好きなランジェリー業界に絞っています・・・。」



なにを、言っているのか・・・自分でも焦っている。
こんな自己中な考え方の発言をして、内定を貰えるわけがない・・・。
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