【完】ソレは、脱がさないで

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そう、やっと自覚し・・・
そして、すぐに思い出す・・・。
今の私にはもう・・・ほんの少しの夢も持てない・・・。





そんな私の上から、急いでこの人が退き、ベッドから降りる。




そして、あの日と同じように後ろを向く。




私は、小さく笑った・・・。




ソレを着けていても、私にはもう何の意味もなかったのだと・・・





私は、私は、こんなにつまらない女なのだから・・・。






そう思った時・・・






「履歴書を、見てもらったので分かると思いますが・・・俺、俺は・・・藤澤です。
藤澤修平です・・・。」



 
この人が、自己紹介をした・・・。
そして、ワイシャツの袖で・・・顔を拭っていた・・・




「あの日から、俺は・・・あなたのことが、忘れられませんでした・・・。
8年間ずっと・・・俺は、この部屋で・・・駅で・・・あなたを待っていました・・・。」




信じ・・・られなかった・・・。



だって、この人は戻ってこなかったのに・・・。




「俺は・・・あなた以外、女の子を知らなくて・・・何も、全く、知らなくて・・・。
あなたが喜ぶような言葉も、喜ぶようなことも、きっとしてあげられません・・・。」




涙が、流れた・・・。
黒くて冷たい涙ではない・・・。
こんなに温かいのだから・・・。




「それでも、頑張るから・・・。
あなたの隣に立っていられるように、頑張るから・・・。
俺と・・・付き合ってもらえませんか・・・。」