【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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学区域内ではなくて、学区域外にあるもっと偏差値の高い公立の高校を受験したら受かった。



父さんからは、
“学校の勉強なんて全く意味がない。
それよりも強い肉体と強い精神を作れ。”
と言われていたけど・・・。



俺はそうは思わない・・・。



父さんのことも母さんのことも好きだけど、どうしても許せなかった。



どうしても許せなかった。



なんで・・・



なんで・・・



大きな海と書いて“オーシャン”なんて名付けたんだよ・・・。



学がないからとしか思えなかった。
それ以外に考えられなかった。



赤ちゃん時代や幼少期ならまだ“オーシャン”でもいいかもしれない。
でも、俺は二十歳になっても30歳になっても40歳や50歳のオジサンになっても“オーシャン”で。



葬式の時なんてお坊さんから“まさかオーシャン”と読み上げられる。



死ぬまで続くでもなく、死んでも尚この名前がつきまとう・・・。



しかも、“まさか”“オーシャン”・・・。



俺の小学校時代も中学校時代も、“まさかのオーシャン”と何度も言われた。



死ぬほどイヤだった。
死ぬほどイヤだったけど、死んでもイヤだった。



俺が死んだ後に残った人達が名前について笑っている場面しか想像が出来なかったから。



生きるのも死ぬのも苦しい名前を子どもに付けてしまったなんて、学がないからとしか思えなかった。



だから、俺は勉強をする。
子どもにこんな苦しい思いをさせている両親の名付けは“ミス”だから。



俺は“ミス”をしないためにも、勉強をする・・・。