【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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高校1年生 春



「オーシャン！！今日から高校だろ！！？
飯を食え！！！飯を！！！！」



高校生になり初めての登校日。
気分は雨模様。実際の天気も雨。



18歳で父親になった父さんは、今年でまだ34歳。
タイル職人として働き16歳の母さんと俺、4歳下の妹を養っている。



男らしい顔で大きな大きな身体、アニメに出てきそうなバキバキな身体をしている。
そんな父さんは雨なので仕事は休み・・・。
今日も吐くギリギリまで朝ご飯を食べさせられた。



そんな俺を小学校6年生になる妹はスンッとした冷静な顔で見て、静かにご飯を食べている。



「ちゃんと飯食って身体作らねーと！！！
愛した女を守れねーだろ！！！
自分が死んででも愛した女を守るのが“漢”なんだよ！！！」



今日もいつもの台詞を吐く。
アニメに出てきそうな顔と身体でそんな台詞まで吐く。



父さんは“元ヤン”というもので・・・。
治安の悪い地域で生まれ育った“ヤンキー”で・・・。
そこで出会った可愛い顔の母さんと付き合い、マンガのような危険な展開が何度もあったらしい。



本当か嘘かは知らないけど、父さんの身体は確かに傷だらけで・・・。
母さんも“命懸けで守ってくれた”と言っているから、どこまで本当かは分からないけど全部が嘘ではないと思っている。



「オーシャン、お弁当！」



「ありがとう。」



今年32歳の母さんは確かに今でも可愛い顔をしている・・・。
可愛い顔をしていて、俺は母さんの顔に似ていた。
似ていたというより・・・本当にソックリだった。