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オーシャンは優しい顔でも穏やかな空気でもなく・・・静かに、でも激しく揺れるような空気を纏った・・・。



そんな空気で笑いながら立ち上がり、あたしの後ろに回り込むとまた鏡の方を向かせた。
そして、自分も屈み・・・可愛いドレッサーの鏡の中にはあたしとオーシャンの姿が映った。



「こんなにすぐまた会えるなんて思わなかったよ。
俺か木葉の葬式まで会えないと覚悟を決めていたし、それが1番良いとも思っていた。」



「それ、どういうことだったの・・・?」



「明ちゃんの女の子になった姿がどうしても見てみたくて、藤岡ホールディングスに応募をしてしまったよね。
ごめんね、そこからミスをしてたね。」



オーシャンが困ったように笑いながら、可愛いドレッサーの鏡の中に映るあたしを見る。



「俺の初恋は本当に“木葉弟”で。」



「うん・・・。」



「でも、“ゲイ”じゃないんだよね。」



それには驚き、鏡の中のあたしも驚いた顔をしている・・・。



「でも、明ちゃんとは付き合えない。
藤岡ホールディングスも辞めるよ、このまま“女友達”とズルズル“夏休み”を続けるのはよくないからね。」



「待って・・・全然分からないから・・・。
あたしは空気は読めるけど、こういうのが分かるのは剛士だから。
もっと分かりやすく話して?」



これ以上話したくない空気のオーシャンに、あたしは無理にでも空気を動かした。
そんなあたしを、オーシャンは真剣な顔で鏡越しで見詰める。




「俺がミスをすることは許されない。
小さなミスでも絶対に許されないから。
だから明ちゃんとは付き合えない。」



「ミスって何?
あたしと付き合ったらミスなの?」



「明ちゃんとは絶対に付き合えない。
全ては“偶然”でなければいけないから。」



「“偶然”・・・?」



「俺と明ちゃんが付き合うと、その“必然”に気付く人もいるかもしれないから。」



オーシャンがよく分からない話を続ける・・・。
あたしは鏡越しではなくて、すぐそこにあるオーシャンの顔を見上げた。



そんなあたしをオーシャンが優しい顔で見下ろす。
凄い凄い、優しい顔で見下ろす。



そして・・・



あたしの顔にゆっくりと近付き・・・



唇を重ねた・・・。



しばらくしてからゆっくりと離れた唇をオーシャンが開く・・・



そして・・・



かき混ぜた・・・



空気をかき混ぜた・・・





















「俺はあの会社に潜り込んでた調査員だったんだ。
調査会社の所属でもなく、個人契約の。
あの男を殺すためだけに依頼された調査員だった。」





明side........
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