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会社の会議室・・・。
鍵を掛けてから、スマホで電話を掛けた・・・。
そして、着信音が何回か鳴った後・・・
『明か!珍しいな!!』
“取締役”の・・・“お兄ちゃん”の声が聞こえてきた・・・。
お兄ちゃんの声を聞いたら、その瞬間に涙が流れてしまった・・・。
『なんかあったか?』
お兄ちゃんがそう聞いてくれるけど何も言えなくて・・・。
苦しすぎて、悲しすぎて、苦境すぎて、声が・・・空気が、口から何も出てこない・・・。
その代わりに、涙だけがどんどん流れてくる・・・。
何も言わない、言えないあたしに・・・
お兄ちゃんは何も言わずに待っていてくれる・・・。
お兄ちゃんはそういう人で・・・。
お兄ちゃんだけじゃないけど、あたしのきょうだいは全員イケメンで。
だからお兄ちゃんもイケメンで・・・。
そんなイケメンのお兄ちゃんを、オーシャンは好きになった。
イケメンのお兄ちゃんに・・・
“妹”のあたしは初めて“心を開く”。
剛士にも泣いた姿を見せたことはないけど、“お兄ちゃん”にはたまに見せていたらしいから。
まだ3歳や4歳の頃、あたしも覚えていないような頃。
雷のお母さんが言うには、あたしは“お兄ちゃん”によくワガママを言って泣いていたらしい。
その頃は、日中は雷のお母さんと“お兄ちゃん”しか家にいなかったから。
雷のお母さんも“母ちゃん”だったけど、空気が読めたあたしは“母ちゃん”よりも“お兄ちゃん”があたしの本当の家族なのだと気付いていたのかもしれない。
記憶にある限りではそんなことをした覚えはないけど、雷のお母さんにも“お兄ちゃん”からも言われているので事実なのだと思う。
そんな“お兄ちゃん”に、あたしは“心を開く”。
記憶にある限り、人生で初めて・・・“お兄ちゃん”に“心を開く”。
大丈夫・・・。
“男になれる薬”ではなくて、瞳ちゃんは“心を開く薬”を入れてくれていたから。
きっとまだ、薬は効いている・・・。
きっと、効いている・・・。
泣きながら、口をゆっくりとゆっくりと開き・・・
空気を出した・・・
空気を動かした・・・
「“おとにいちゃん”、あたし・・・オーシャンのことを好きになっちゃった・・・!!」
鍵を掛けてから、スマホで電話を掛けた・・・。
そして、着信音が何回か鳴った後・・・
『明か!珍しいな!!』
“取締役”の・・・“お兄ちゃん”の声が聞こえてきた・・・。
お兄ちゃんの声を聞いたら、その瞬間に涙が流れてしまった・・・。
『なんかあったか?』
お兄ちゃんがそう聞いてくれるけど何も言えなくて・・・。
苦しすぎて、悲しすぎて、苦境すぎて、声が・・・空気が、口から何も出てこない・・・。
その代わりに、涙だけがどんどん流れてくる・・・。
何も言わない、言えないあたしに・・・
お兄ちゃんは何も言わずに待っていてくれる・・・。
お兄ちゃんはそういう人で・・・。
お兄ちゃんだけじゃないけど、あたしのきょうだいは全員イケメンで。
だからお兄ちゃんもイケメンで・・・。
そんなイケメンのお兄ちゃんを、オーシャンは好きになった。
イケメンのお兄ちゃんに・・・
“妹”のあたしは初めて“心を開く”。
剛士にも泣いた姿を見せたことはないけど、“お兄ちゃん”にはたまに見せていたらしいから。
まだ3歳や4歳の頃、あたしも覚えていないような頃。
雷のお母さんが言うには、あたしは“お兄ちゃん”によくワガママを言って泣いていたらしい。
その頃は、日中は雷のお母さんと“お兄ちゃん”しか家にいなかったから。
雷のお母さんも“母ちゃん”だったけど、空気が読めたあたしは“母ちゃん”よりも“お兄ちゃん”があたしの本当の家族なのだと気付いていたのかもしれない。
記憶にある限りではそんなことをした覚えはないけど、雷のお母さんにも“お兄ちゃん”からも言われているので事実なのだと思う。
そんな“お兄ちゃん”に、あたしは“心を開く”。
記憶にある限り、人生で初めて・・・“お兄ちゃん”に“心を開く”。
大丈夫・・・。
“男になれる薬”ではなくて、瞳ちゃんは“心を開く薬”を入れてくれていたから。
きっとまだ、薬は効いている・・・。
きっと、効いている・・・。
泣きながら、口をゆっくりとゆっくりと開き・・・
空気を出した・・・
空気を動かした・・・
「“おとにいちゃん”、あたし・・・オーシャンのことを好きになっちゃった・・・!!」
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