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「ゲイバーに来たことがある、俺の知り合いの人を覚えてるかな?」
「覚えてるよ、高級そうなスーツを着ていて“売り”をしてる男の子といた人でしょ?」
「“売り”の子まで分かるんだ・・・。
うん、その人。
あの人、前の会社の取締役なんだよ。」
それには少し驚きオーシャンを見ると、オーシャンは困った顔で笑っていた。
「でも、オーシャン・・・“ゲイ”だってバレても大丈夫だって言ってたよね?」
「うん、言ったね。
でもバレるわけにいかなくなったから、あの人の秘書の女の子と付き合うことにした。
元々凄く言い寄られていたから、その子と。」
「そんな理由で・・・?」
オーシャンがそんな理由で誰かと付き合うようなことには驚いた。
驚いた顔をしているであろうあたしを、オーシャンは真剣な顔で見詰める。
「1つの小さなミスも許されない。
だからバレるわけにはいかなかった。」
「それで30歳まで付き合ってたの・・・?
女の子、可哀想じゃない?」
「あの子には最初から言った、俺が“ゲイ”だって。
でも、もしかしたら“両方”大丈夫なのかもしれないとは伝えた。
それにあの子自身もよく他の彼氏と付き合ってたけどね、隠そうとしてたけど。」
「なんか・・・恋愛初心者のあたしにはついていけない話で・・・。」
とにかく、やっぱりオーシャンは“ゲイ”なのだと分かった。
分かったし、まだ“木葉”が忘れられず“愛している”のだとも分かった。
でも、お兄ちゃんは“ゲイ”ではないからオーシャンは“木葉”と結ばれることはない。
優しく穏やかに笑いながらも死にそうな空気を出しているオーシャンを見る。
「俺、こんな感じで驚いたよね?
俺はこんな感じなんだ。」
オーシャンがそれでも笑いながら、あたしの鼻血で汚れたシーツを見下ろした。
死にそうな空気の中、それでも嬉しそうに笑った。
「こんな感じなのに、俺と“女友達”になってくれてありがとう。
今日は凄い楽しかったよ。
夏休みは取らないで仕事をする予定だったから、休日だったけど俺にとっては楽しい“夏休み”になったよ。」
「夏休み・・・。」
あたしが小さく呟くとオーシャンが優しく笑ってから頷いた。
それから服を着て・・・“会社で会おう”と、何を言ったら良いのか分からないあたしに言って・・・。
オーシャンはあたしの部屋から出ていった。
「覚えてるよ、高級そうなスーツを着ていて“売り”をしてる男の子といた人でしょ?」
「“売り”の子まで分かるんだ・・・。
うん、その人。
あの人、前の会社の取締役なんだよ。」
それには少し驚きオーシャンを見ると、オーシャンは困った顔で笑っていた。
「でも、オーシャン・・・“ゲイ”だってバレても大丈夫だって言ってたよね?」
「うん、言ったね。
でもバレるわけにいかなくなったから、あの人の秘書の女の子と付き合うことにした。
元々凄く言い寄られていたから、その子と。」
「そんな理由で・・・?」
オーシャンがそんな理由で誰かと付き合うようなことには驚いた。
驚いた顔をしているであろうあたしを、オーシャンは真剣な顔で見詰める。
「1つの小さなミスも許されない。
だからバレるわけにはいかなかった。」
「それで30歳まで付き合ってたの・・・?
女の子、可哀想じゃない?」
「あの子には最初から言った、俺が“ゲイ”だって。
でも、もしかしたら“両方”大丈夫なのかもしれないとは伝えた。
それにあの子自身もよく他の彼氏と付き合ってたけどね、隠そうとしてたけど。」
「なんか・・・恋愛初心者のあたしにはついていけない話で・・・。」
とにかく、やっぱりオーシャンは“ゲイ”なのだと分かった。
分かったし、まだ“木葉”が忘れられず“愛している”のだとも分かった。
でも、お兄ちゃんは“ゲイ”ではないからオーシャンは“木葉”と結ばれることはない。
優しく穏やかに笑いながらも死にそうな空気を出しているオーシャンを見る。
「俺、こんな感じで驚いたよね?
俺はこんな感じなんだ。」
オーシャンがそれでも笑いながら、あたしの鼻血で汚れたシーツを見下ろした。
死にそうな空気の中、それでも嬉しそうに笑った。
「こんな感じなのに、俺と“女友達”になってくれてありがとう。
今日は凄い楽しかったよ。
夏休みは取らないで仕事をする予定だったから、休日だったけど俺にとっては楽しい“夏休み”になったよ。」
「夏休み・・・。」
あたしが小さく呟くとオーシャンが優しく笑ってから頷いた。
それから服を着て・・・“会社で会おう”と、何を言ったら良いのか分からないあたしに言って・・・。
オーシャンはあたしの部屋から出ていった。
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