【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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“女”でもいけるのなら、頑張りたいと思った。
だってあたしはオーシャンのことが好きで。
“男”の空気を纏っていた頃からずっと好きで。



“初恋”だった・・・。
“恋”をしていた・・・。
恋い焦がれていた・・・。



だから、いくと決めた・・・。
人生で初めて、“ひろみ”でもなく“女”でもいける“オーシャン”に、“女”としていこうと決めた・・・。



そしたら、まさかの・・・。
夜の海に誘ってくれて、“酔った”と言うオーシャンは優しい穏やかな空気ではなく、愛して愛して仕方がない相手がいる顔を、空気をしていた。



可愛い女の子の彼女と別れていたのに、そんな空気をしていて・・・。
夜の海の目の前であたしを見るオーシャンの空気は、あたしを“好き”と“大好き”と“愛している”というものだった・・・。



そして、抱き締められて“柔らかい”と言われた。
はだけた浴衣の胸元を熱い視線の空気で見詰めてきた。
あたしを抱き締めたオーシャンの下半身は反応していた。
最後に一瞬だけ空気が触れたようなキスをされた。



それが“あたし”に向けられた“愛してる”なのかと思っていた。



それに神様に感謝までして、心の中で悶絶をしながら鼻血まで出しそうになっていた。



でも、今なら分かる。



オーシャンはやっぱり“木葉”が好きなのだと。
“木葉”にソックリの“綺麗な女の人”のあたしではなくて、“木葉”が好きなのだと。
愛して愛して仕方ないのだと、今なら分かる。



だから、だから・・・



こんなに死んでしまいそうな空気になっている。



“真坂部長”ではない“オーシャン”は、こんなに死んでしまいそうな空気で・・・



“木葉”にソックリな“綺麗な女の人”のあたしを見詰めている。



そんな空気の中、オーシャンは悲しそうに笑った。



「バレるわけにいかないから、女の子と付き合ってたよ。」



その答えを聞いて、あたしは小さく笑って頷いた。