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オーシャンの隣で作る所を見ていると・・・
「ただコーヒーと牛乳だけじゃないんだ?」
「無糖のコーヒーで作る方が美味しいらしいね。」
耐熱グラスにお砂糖を少し多めに入れて、そこにお湯を少しだけ注いで溶かして・・・
冷たい無糖のコーヒーと牛乳を注いでゆっくりとかき混ぜていく・・・。
耐熱ガラスの中、混ざっていく様子を見ながら笑ってしまった。
「“オーシャン”みたいだね~?」
“ひろみ”ではなく、“オーシャン”の方がしっくりきてしまって、そう言った。
「耐熱ガラスの中、砂糖もお湯もコーヒーも牛乳も全部混ざった!!
きっと気付かないうちに全部が混ぜられちゃったと思うよ?
“オーシャン”の空気は優しくて穏やかなのに、なんでかこのコーヒー牛乳みたいにいつの間にか混ぜられちゃうの!!」
あたしはそう言いながら“オーシャン”を見上げる。
「昔から空気に入り込む天才だったよね!!
オーシャンに入り込まれてることなんて知らないまま、いつの間にか混ぜられちゃうの!!」
「そうだったかな?」
「“取締役”は空気に入り込んでその空気をもっと大きくする感じだったけど、“オーシャン”はその空気に入り込んで混ぜちゃうの!!」
「木葉がいたから出来たことだと思う。
木葉は俺の“海”を広げてくれた。」
「“海”を?」
「砂浜から見える範囲の“海”だけじゃなくて、その先にも海は続いてると教えてくれたんだよね。」
オーシャンがそう言いながらあたしを優しく見下ろして、コーヒー牛乳を渡してくれた。
笑いながらお礼を言って受けとると、オーシャンも嬉しそうに笑ってくれた。
そして・・・
「“明”、そのドレス似合うね。
凄い可愛い。
凄い可愛くて、鼻血が出るかと思ったよ。」
そんなことを言ってくれて・・・。
そんな嬉しすぎることを言ってくれて・・・
「“明”・・・鼻血出てる・・・。」
昔からオーシャンのこういう、すっっっごいイケメンな感じには心の中で悶絶し興奮してしまって、よく鼻血を出してしまっていた。
入り込んでいた。
“オーシャン”は昔からあたしの空気の中に入り込んでいた。
だからだと思う。
だから、“男”の空気を纏っていたのに心の中にいる“女の子”のあたしに接してくれていた。
そして、あたしの中にいつの間にか入り込んで、いつの間にか混ぜられてしまっていた。
だからたまに、本当にたまに・・・“オーシャン”の前でだけは“女の子”のあたしが現れようとする瞬間があった。
守るべき“アヤメ”がいない時・・・
“オーシャン”に空気を混ぜられて、あたしは本当にたまに・・・“女の子”になっていた・・・。
好きだった・・・。
大好きだった・・・。
もう会えないと分かっていても、あたしはオーシャンのことを忘れたことはなかった。
“また、会おう”
オーシャンはそう最後に言っていて、その言葉をしばらく信じていた。
でも、しばらくしてもオーシャンとは会えなくて。
お兄ちゃんに聞いたら、オーシャンとはもう連絡を取っていないと聞いた。
お兄ちゃんがオーシャンに会わないのならあたしはオーシャンに会うことも出来ないので、あたしの小さな小さな“初恋”は終わってしまった。
「ただコーヒーと牛乳だけじゃないんだ?」
「無糖のコーヒーで作る方が美味しいらしいね。」
耐熱グラスにお砂糖を少し多めに入れて、そこにお湯を少しだけ注いで溶かして・・・
冷たい無糖のコーヒーと牛乳を注いでゆっくりとかき混ぜていく・・・。
耐熱ガラスの中、混ざっていく様子を見ながら笑ってしまった。
「“オーシャン”みたいだね~?」
“ひろみ”ではなく、“オーシャン”の方がしっくりきてしまって、そう言った。
「耐熱ガラスの中、砂糖もお湯もコーヒーも牛乳も全部混ざった!!
きっと気付かないうちに全部が混ぜられちゃったと思うよ?
“オーシャン”の空気は優しくて穏やかなのに、なんでかこのコーヒー牛乳みたいにいつの間にか混ぜられちゃうの!!」
あたしはそう言いながら“オーシャン”を見上げる。
「昔から空気に入り込む天才だったよね!!
オーシャンに入り込まれてることなんて知らないまま、いつの間にか混ぜられちゃうの!!」
「そうだったかな?」
「“取締役”は空気に入り込んでその空気をもっと大きくする感じだったけど、“オーシャン”はその空気に入り込んで混ぜちゃうの!!」
「木葉がいたから出来たことだと思う。
木葉は俺の“海”を広げてくれた。」
「“海”を?」
「砂浜から見える範囲の“海”だけじゃなくて、その先にも海は続いてると教えてくれたんだよね。」
オーシャンがそう言いながらあたしを優しく見下ろして、コーヒー牛乳を渡してくれた。
笑いながらお礼を言って受けとると、オーシャンも嬉しそうに笑ってくれた。
そして・・・
「“明”、そのドレス似合うね。
凄い可愛い。
凄い可愛くて、鼻血が出るかと思ったよ。」
そんなことを言ってくれて・・・。
そんな嬉しすぎることを言ってくれて・・・
「“明”・・・鼻血出てる・・・。」
昔からオーシャンのこういう、すっっっごいイケメンな感じには心の中で悶絶し興奮してしまって、よく鼻血を出してしまっていた。
入り込んでいた。
“オーシャン”は昔からあたしの空気の中に入り込んでいた。
だからだと思う。
だから、“男”の空気を纏っていたのに心の中にいる“女の子”のあたしに接してくれていた。
そして、あたしの中にいつの間にか入り込んで、いつの間にか混ぜられてしまっていた。
だからたまに、本当にたまに・・・“オーシャン”の前でだけは“女の子”のあたしが現れようとする瞬間があった。
守るべき“アヤメ”がいない時・・・
“オーシャン”に空気を混ぜられて、あたしは本当にたまに・・・“女の子”になっていた・・・。
好きだった・・・。
大好きだった・・・。
もう会えないと分かっていても、あたしはオーシャンのことを忘れたことはなかった。
“また、会おう”
オーシャンはそう最後に言っていて、その言葉をしばらく信じていた。
でも、しばらくしてもオーシャンとは会えなくて。
お兄ちゃんに聞いたら、オーシャンとはもう連絡を取っていないと聞いた。
お兄ちゃんがオーシャンに会わないのならあたしはオーシャンに会うことも出来ないので、あたしの小さな小さな“初恋”は終わってしまった。
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