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結婚していなかったらセーフ・・・。
“アヤメ”はそう言うけど、オーシャンからはやっぱり話し掛けられることはなかった。
8月も中旬、たまに手伝いにくるオーシャンは仕事中もあたしの方を見ることはない。
オーシャンは知っているから。
あたしの中身が“女”だと、心だけではなく身体も“女”だとオーシャンは知っているから。
それでも、今日も閉店後に少しでも話し掛けようと思っていた。
少しでも・・・少しでもいいから、いってみようと思っていた。
勉強する・・・。
あたしは、“恋”の勉強をする・・・。
あたしの先をいく“アヤメ”という“空気”が導いてくれたから。
“アヤメ”が導いてくれたこのゲイバーで、あたしは“恋”の勉強をする。
そう思っていた日、お姉ちゃんがまた店に来た。
「今日は明にプレゼントを持ってきたの!!」
そんな嬉しいことを言ってくれて、綺麗な紙袋を渡してくれた。
それにお礼を言って開けてみると・・・
「ドレス~!?」
ドレスだった。
真っ黒のロングドレス・・・。
可愛い服が大好きなあたしでは選ばない色や形・・・。
あたしはこんな男みたいな顔だから、真っ黒なドレスを選んだのだと思う。
でも、今は・・・。
今は、この顔を創造してくれた神様に感謝をしている。
「お姉ちゃん、このドレス・・・“あたし”に似合うかな?」
「似合うと思うよ。
明が美しくなるドレスをあたしは選んだ。
着替えてきて?
お姉ちゃんに見せて?」
お姉ちゃんがいつも店にいる時のテンションではなく、普段の空気であたしに話し掛けた。
それに笑って頷くと、他の従業員の数人がお姉ちゃんに近付いてきた。
その中に、今日はオーシャンもいた。
「“明”のお姉さん、お疲れ様です。」
「疲れたよ~!!!
“女社長”は大変大変!!!
でも楽しいけどね!!」
「こんな所でしか休めないくらい“女社長”は大変なんだね?」
オーシャンは最近、挨拶だけは敬語であとはお姉ちゃんに敬語でなく普通に話す。
それくらいお姉ちゃんはよく来ているし、オーシャンともたまに話している。
なんだかあたしよりもお姉ちゃんの方がオーシャンとの距離が近くなっていて、それには少し悲しくなった。
「あたし、着替えてくるね~!!!!」
だからこそ、明るく楽しく笑った。
苦境の時ほど明るく楽しく笑う。
そしたら、友達である空気も明るく楽しく笑ってくれるから。
そしたら、周りのみんなも明るく楽しく笑ってくれるから・・・。
“アヤメ”はそう言うけど、オーシャンからはやっぱり話し掛けられることはなかった。
8月も中旬、たまに手伝いにくるオーシャンは仕事中もあたしの方を見ることはない。
オーシャンは知っているから。
あたしの中身が“女”だと、心だけではなく身体も“女”だとオーシャンは知っているから。
それでも、今日も閉店後に少しでも話し掛けようと思っていた。
少しでも・・・少しでもいいから、いってみようと思っていた。
勉強する・・・。
あたしは、“恋”の勉強をする・・・。
あたしの先をいく“アヤメ”という“空気”が導いてくれたから。
“アヤメ”が導いてくれたこのゲイバーで、あたしは“恋”の勉強をする。
そう思っていた日、お姉ちゃんがまた店に来た。
「今日は明にプレゼントを持ってきたの!!」
そんな嬉しいことを言ってくれて、綺麗な紙袋を渡してくれた。
それにお礼を言って開けてみると・・・
「ドレス~!?」
ドレスだった。
真っ黒のロングドレス・・・。
可愛い服が大好きなあたしでは選ばない色や形・・・。
あたしはこんな男みたいな顔だから、真っ黒なドレスを選んだのだと思う。
でも、今は・・・。
今は、この顔を創造してくれた神様に感謝をしている。
「お姉ちゃん、このドレス・・・“あたし”に似合うかな?」
「似合うと思うよ。
明が美しくなるドレスをあたしは選んだ。
着替えてきて?
お姉ちゃんに見せて?」
お姉ちゃんがいつも店にいる時のテンションではなく、普段の空気であたしに話し掛けた。
それに笑って頷くと、他の従業員の数人がお姉ちゃんに近付いてきた。
その中に、今日はオーシャンもいた。
「“明”のお姉さん、お疲れ様です。」
「疲れたよ~!!!
“女社長”は大変大変!!!
でも楽しいけどね!!」
「こんな所でしか休めないくらい“女社長”は大変なんだね?」
オーシャンは最近、挨拶だけは敬語であとはお姉ちゃんに敬語でなく普通に話す。
それくらいお姉ちゃんはよく来ているし、オーシャンともたまに話している。
なんだかあたしよりもお姉ちゃんの方がオーシャンとの距離が近くなっていて、それには少し悲しくなった。
「あたし、着替えてくるね~!!!!」
だからこそ、明るく楽しく笑った。
苦境の時ほど明るく楽しく笑う。
そしたら、友達である空気も明るく楽しく笑ってくれるから。
そしたら、周りのみんなも明るく楽しく笑ってくれるから・・・。
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