【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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「オーシャン、やめて・・・。
それはやだ・・・。」



裸なんて見られたくなかった。
あたしはオーシャンに裸なんて見られたくなかった。



だって・・・



「あたし、女だから・・・！！
服脱いだらあたし、女だからね！？」



「知ってるよ。
2日も連続で水着姿を見たから。」



オーシャンはあたしの水着姿を見ても表情を一切変えなかった。
空気も何も変わらなかった。



何も言ってくれなかった。
スクール水着以外、人生で初めて着た水着だった。
深い“海”のような青色の水着・・・。



女の子達が選んでくれた水着はその色だった。
人生で初めて“海”に行った日、あたしは深い“海”のような青色の水着を着て・・・。



人生で初めて男の人に水着姿を見せた。
大好きで大好きで、ずっとずっと恋焦がれていたオーシャンに・・・。



そのオーシャンは何も言ってくれなかった。



それはあたしがオーシャンの好きな可愛い女の子ではないからだと思っていた。



でも、それは違った・・・。



人生で初めて海に行って、人生で初めて“オーシャンにいって”、分かった。



改めて分かった。



「オーシャン、やめてっ！！！」



力強く強引に、オーシャンがあたしの服を脱がしていく。



見られたくなかった・・・。



“女”のあたしの身体を・・・。



“女”のあたしの裸を・・・。



こんなにも死んでしまいそうなオーシャンに、“女”のあたしの裸を見られたくなかった・・・。



「最後までは絶対にしない。
仲直りさせて、明ちゃん。」



オーシャンの低くて落ち着いた声を聞いて、泣きながらもオーシャンを見る。



「それで、俺が教えてあげるから。
“女”として生まれて良かったと思えるような瞬間を。」