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お母さんを死なせたあの男から、“アヤメ”は性的虐待をされていた。
あたしは自分の顔がもっと嫌いになった。
それまでは男みたいな顔でイヤだなと思うくらいだったけど、“アヤメ”が我が家に来た日にやっと分かった。
“アヤメ”があたしのお兄ちゃん2人とあたしを見て怖がり、震えだした。
恐怖の空気が大きく震えたのを感じてやっと分かった。
あたしの男みたいな顔は、父親にソックリなのだと。
お兄ちゃん2人とソックリなあたしの顔は、父親の方にソックリなのだと。
“アヤメ”の弟2人をボロボロでガリガリの姿にさせ、双子を生む時にお母さんが亡くなったら、その4人をあたしのお母さんに押し付けようとした最低な男の顔にソックリなのだと。
そして・・・
あたしの大好きなお姉ちゃんの紅葉によく似た可愛い女の子、その女の子をこんなに怖がらせてしまうような最低な男なのだと。
そんな最低な男の顔に、あたしはソックリだった。
“アヤメ”が中学に入る時に我が家から出て、雷と二人暮らしを始めた。
それを不思議に思っていたら、お姉ちゃんが“アヤメ”があの男からされていたことを教えてくれた。
それであたしはもっと“アヤメ”を好きになった。
好きで好きで、大好きになった。
だって、“アヤメ”は格好良かった。
お母さんが入院してしまった後、“アヤメ”は給食を持ち帰り弟2人に食べさせていた。
夏休みに入ってからお母さんは亡くなり、給食もなくなり、それであの男はお金を渡す代わりに“アヤメ”に性的虐待をした。
“アヤメ”は、弟2人を守るために“自分”を犠牲にした。
“アヤメ”は格好良かった。
凄い凄い格好良かった。
可愛い可愛い顔をして、まだ女の子の格好をして、死にそうな空気を出しているけれど、それでも“アヤメ”は格好良かった。
あたしの友達は格好良かった。
“アヤメ”の心の中には“男の子”がいるのだと分かった。
強い強い格好良い男の子がいるのだと分かった。
だから、死んでしまいそうな空気の中、たまに怖いくらい鋭い空気を出す。
それはお姉ちゃんの紅葉がたまに出す空気ではなくて、雷の方に似ていた。
雷よりももっと怖いくらいの鋭い空気・・・。
まるで、これから誰かを殺してしまいそうな空気・・・。
あたしのきょうだいはたまに、全員がそんな空気を出す。
あの男を全員が殺したいくらい憎んでいると分かる。
でも、あたしにはそれは怖くて・・・。
あたしの心にはそこまでの強い感情があの男に対してはなくて。
赤ちゃんの時にお母さんは離婚していたし、たまに紅葉と“アヤメ”を連れ戻しに我が家に押し掛けてくるあの男は、父親というよりも気が狂った男にしか見えなかったから。
あたしは自分の顔がもっと嫌いになった。
それまでは男みたいな顔でイヤだなと思うくらいだったけど、“アヤメ”が我が家に来た日にやっと分かった。
“アヤメ”があたしのお兄ちゃん2人とあたしを見て怖がり、震えだした。
恐怖の空気が大きく震えたのを感じてやっと分かった。
あたしの男みたいな顔は、父親にソックリなのだと。
お兄ちゃん2人とソックリなあたしの顔は、父親の方にソックリなのだと。
“アヤメ”の弟2人をボロボロでガリガリの姿にさせ、双子を生む時にお母さんが亡くなったら、その4人をあたしのお母さんに押し付けようとした最低な男の顔にソックリなのだと。
そして・・・
あたしの大好きなお姉ちゃんの紅葉によく似た可愛い女の子、その女の子をこんなに怖がらせてしまうような最低な男なのだと。
そんな最低な男の顔に、あたしはソックリだった。
“アヤメ”が中学に入る時に我が家から出て、雷と二人暮らしを始めた。
それを不思議に思っていたら、お姉ちゃんが“アヤメ”があの男からされていたことを教えてくれた。
それであたしはもっと“アヤメ”を好きになった。
好きで好きで、大好きになった。
だって、“アヤメ”は格好良かった。
お母さんが入院してしまった後、“アヤメ”は給食を持ち帰り弟2人に食べさせていた。
夏休みに入ってからお母さんは亡くなり、給食もなくなり、それであの男はお金を渡す代わりに“アヤメ”に性的虐待をした。
“アヤメ”は、弟2人を守るために“自分”を犠牲にした。
“アヤメ”は格好良かった。
凄い凄い格好良かった。
可愛い可愛い顔をして、まだ女の子の格好をして、死にそうな空気を出しているけれど、それでも“アヤメ”は格好良かった。
あたしの友達は格好良かった。
“アヤメ”の心の中には“男の子”がいるのだと分かった。
強い強い格好良い男の子がいるのだと分かった。
だから、死んでしまいそうな空気の中、たまに怖いくらい鋭い空気を出す。
それはお姉ちゃんの紅葉がたまに出す空気ではなくて、雷の方に似ていた。
雷よりももっと怖いくらいの鋭い空気・・・。
まるで、これから誰かを殺してしまいそうな空気・・・。
あたしのきょうだいはたまに、全員がそんな空気を出す。
あの男を全員が殺したいくらい憎んでいると分かる。
でも、あたしにはそれは怖くて・・・。
あたしの心にはそこまでの強い感情があの男に対してはなくて。
赤ちゃんの時にお母さんは離婚していたし、たまに紅葉と“アヤメ”を連れ戻しに我が家に押し掛けてくるあの男は、父親というよりも気が狂った男にしか見えなかったから。
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