【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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若い男の子は後部座席で爆睡する中、オーシャンの・・・真坂部長の車がゆっくりと発進した。



ここからはそれぞれの家まで送ることになったので、もう1台の車とはお別れになる。
後部座席でチーン・・・となっている2人は気付いていなかったけど、付き合っている2人にあたしは笑いながら手を振った。



「あの2人、営業部で付き合ってるのバレてないんですか～？」



「それがバレてないと思う。
彼氏が優秀だよね。」



「そうですよね！？
あの人も結構空気読めますからね！！」



女の子の方は危ない感じでもあるけど、男の人が優秀らしいのでバレていないらしい。
別に隠さなくてもいいのに、やりにくくなるからか社内恋愛を隠している人達が多い。



「真坂部長は社内恋愛隠してなかったんですよね～？
前の会社の人達は知ってるみたいですし！！」



“オーシャンにいく”と決めたので、空気を読まずにあたしの空気だけを無理矢理にでも動かし重ねる。



「そうだね、長かったしみんな知っていたよ。」



「7年ですよね～！？
7年って、7年ですよね！？」



あたしは車の中だけど、いつもより大きな声を出して明るく楽しく言って真坂部長の横顔を見た。



真坂部長は表情を一切変えることなく頷いた。



「7年は、7年だね。」



「何でフラれちゃったんですか～？」



「俺は結婚しないからね。」



そんなことを表情も空気も一切変えることなく言った。
それには少し驚いたけど、空気を動かす・・・。



「それって、あたしもオーシャンとは結婚出来ないの？」



そう言い切った後、あたしは前を向いて空気だけを読んだ。



そしたら・・・



「俺は誰とも結婚しないよ。
昨日は酔ってたね、ごめんね。
木葉さんが綺麗になったからかな。」



真坂部長がこんなことを言って終わらせてしまった。