【完】この夏、人生で初めて海にいく(カットページ掲載済2023.5.30)

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オーシャンと2人で砂浜に座り、真っ暗な海を眺める。
本当に真っ暗で・・・。
黒がどこまでも深く続いていく・・・。
怖いくらい深く、続いていく・・・。



「俺も初めて海に来たよ。
夜の海は怖いね。」



オーシャンも初めて海に来たらしく、あたしと同じことを思ったらしい。
それには少しだけ笑いながら答えた。



「1人だと怖いだろうけど、隣にオーシャンがいることを考えたら怖くなくなってきた。」



「それは、よかった・・・。」



オーシャンがそう言ってから無言になり、また夜の海を眺め・・・2人で波の音と潮風を感じていた。



しばらくそうしてしたら・・・



「夜の海は静かで癒されるね・・・。」



「あたしもそう思ってた。」



もう深夜中の深夜の時間だから出歩いている人もいない。
あたしとオーシャンだけしかこの夜の海の世界にいない。
そんな不思議な空気の中だった。
不思議だけど幸せな空気の中だった。



「俺・・・少し酔ったみたいだな。」



「オーシャンはいくら呑んでも酔わないでしょ？」



「この会社に入ってからお酒呑んでなかったし、久しぶりにペース上げて大量に呑んだから酔ったよ。」



「慣れってあるよね？
あたしもゲイバーやめたら昔ほど強くなくなった。」



あたしがそう言いながらオーシャンを見ると、オーシャンはどこをどう見ても酔っていない顔であたしを見詰めていて・・・



「明ちゃんと早く2人になりたくて、全員潰そうと思って呑んでたよ。」



まさかの、そんなオーシャンらしくないことを言ってきた。