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ガッツのある女だった。
差し出す名刺を何とか渡そうと、一生懸命になっていた。
名刺くらい受け取ってやればいいのに、何故か人事部の女は受け取らない。
受け取ったら・・・流されてしまうのが本能的に分かっているからかもしれない。
うちの会社は、求人広告からしか応募者を募っていない。
デカイ会社だから、それだけでも良い人材は集まってくるから。
人材紹介だと1人つき採用費用が高すぎる。
それでも、なかなか断れないのは・・・
それだけガッツのある女だった。
良い女だと思った。
良い営業の女だと思った。
うちの会社にはいない、ガッツのある良い女の営業だと思った。
うちの会社はデカイから。
待っていても客は寄ってくる。
飛び込みをしても会社名を告げればある程度門は開かれる。
だからか、ここまでガッツのある営業はそこまでいなかった。
「また来ますね!!」
名刺を渡せなかったままの女が、それでも元気過ぎる声でそう言って・・・
そう言って・・・
振り返った・・・。
振り返った・・・。
あの、女だった・・・。
あの女だった・・・。
見違えるような姿になった、中学の時の同級生で・・・頭に鳥の巣をのせている女だった・・・。
その女が、俺に小さくお辞儀をしながら急いで階段を降りていった。
この巨大ビルにはまだ沢山企業が入っている。
1番上の企業までエレベーターで上がり、そこから階段で1階ずつ降りて飛び込みしていくんだとすぐに分かった。
頑張っているらしい。
あの女は、頑張っているらしい。
「あの営業の子、会社名覚えてるかな?」
すぐに人事部の女に聞くと、首を傾げた。
それに、苦笑いをする。
うちの会社は・・・悪くはない。
悪くはないけど・・・平和だった。
きっと、“俺”では発狂するくらいに、平和だった・・・。
差し出す名刺を何とか渡そうと、一生懸命になっていた。
名刺くらい受け取ってやればいいのに、何故か人事部の女は受け取らない。
受け取ったら・・・流されてしまうのが本能的に分かっているからかもしれない。
うちの会社は、求人広告からしか応募者を募っていない。
デカイ会社だから、それだけでも良い人材は集まってくるから。
人材紹介だと1人つき採用費用が高すぎる。
それでも、なかなか断れないのは・・・
それだけガッツのある女だった。
良い女だと思った。
良い営業の女だと思った。
うちの会社にはいない、ガッツのある良い女の営業だと思った。
うちの会社はデカイから。
待っていても客は寄ってくる。
飛び込みをしても会社名を告げればある程度門は開かれる。
だからか、ここまでガッツのある営業はそこまでいなかった。
「また来ますね!!」
名刺を渡せなかったままの女が、それでも元気過ぎる声でそう言って・・・
そう言って・・・
振り返った・・・。
振り返った・・・。
あの、女だった・・・。
あの女だった・・・。
見違えるような姿になった、中学の時の同級生で・・・頭に鳥の巣をのせている女だった・・・。
その女が、俺に小さくお辞儀をしながら急いで階段を降りていった。
この巨大ビルにはまだ沢山企業が入っている。
1番上の企業までエレベーターで上がり、そこから階段で1階ずつ降りて飛び込みしていくんだとすぐに分かった。
頑張っているらしい。
あの女は、頑張っているらしい。
「あの営業の子、会社名覚えてるかな?」
すぐに人事部の女に聞くと、首を傾げた。
それに、苦笑いをする。
うちの会社は・・・悪くはない。
悪くはないけど・・・平和だった。
きっと、“俺”では発狂するくらいに、平和だった・・・。
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