174 / 226
10
10-1
しおりを挟む
「あ、お姉さん!」
数日後、兄貴に聞き出した女との待ち合わせ場所に、俺が兄貴より先に到着した。
兄貴は5分前行動の男と知っているから。
さっきまで少し気を抜いたような顔で立っていた女は、俺に少し驚いた後に上品な顔で笑った。
「小太郎君だよね?
凛太郎さんにソックリだね?」
「うん、よく言われます。」
そう答えて、スマホを取り出した。
「連絡先、交換してくれませんか?」
「・・・いいよ。」
連絡先を交換しながら、言う。
凛太郎として、でも奥底に俺を少し残して。
「なんか・・・女の子のタイプも兄貴と同じかもしれないです。」
「・・・え~、そうなんだ?」
「俺、女の子と付き合ったことなくて。」
「そうなんだ?格好良いのにね!!」
「この前お姉さんを見て、凄い気になっちゃいました。」
女が嬉しそうな顔で笑っている。
「今度、俺とも会ってくれませんか?」
俺は、詐欺師だと思っている。
凛太郎として、奥底に俺を少し残すと・・・
俺は詐欺師になれた。
それで、親父の会社で営業の成績を伸ばしまくっている。
俺は、詐欺師なのだと思った。
いつか、中学の同級生の女に心配をしたことがある。
“詐欺師”だと何度も連呼をして、その女に心配をしたことがある。
その女の家は俺の家よりも大金持ちだったから。
あんまり話したことはないけど、良い奴で・・・頭に鳥の巣をのせていて、昔の真知子みたいで・・・。
勝手に心配をしていた・・・。
でも、俺が詐欺師だった・・・。
俺が、詐欺師だった・・・。
数日後、兄貴に聞き出した女との待ち合わせ場所に、俺が兄貴より先に到着した。
兄貴は5分前行動の男と知っているから。
さっきまで少し気を抜いたような顔で立っていた女は、俺に少し驚いた後に上品な顔で笑った。
「小太郎君だよね?
凛太郎さんにソックリだね?」
「うん、よく言われます。」
そう答えて、スマホを取り出した。
「連絡先、交換してくれませんか?」
「・・・いいよ。」
連絡先を交換しながら、言う。
凛太郎として、でも奥底に俺を少し残して。
「なんか・・・女の子のタイプも兄貴と同じかもしれないです。」
「・・・え~、そうなんだ?」
「俺、女の子と付き合ったことなくて。」
「そうなんだ?格好良いのにね!!」
「この前お姉さんを見て、凄い気になっちゃいました。」
女が嬉しそうな顔で笑っている。
「今度、俺とも会ってくれませんか?」
俺は、詐欺師だと思っている。
凛太郎として、奥底に俺を少し残すと・・・
俺は詐欺師になれた。
それで、親父の会社で営業の成績を伸ばしまくっている。
俺は、詐欺師なのだと思った。
いつか、中学の同級生の女に心配をしたことがある。
“詐欺師”だと何度も連呼をして、その女に心配をしたことがある。
その女の家は俺の家よりも大金持ちだったから。
あんまり話したことはないけど、良い奴で・・・頭に鳥の巣をのせていて、昔の真知子みたいで・・・。
勝手に心配をしていた・・・。
でも、俺が詐欺師だった・・・。
俺が、詐欺師だった・・・。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる