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カトウ・キサラギシステムズを早退し、雪がめちゃくちゃ積もった東京のオフィス街をダッシュしていく。
長靴でもスニーカーでもなく、撥水加工も何もされていない低めのヒールのパンプスで。



「・・・・・・・・っっっ」



もう何度目か分からないくらい盛大に転び、近くにいた人達がビックリした顔で私のことを見ている。



そんな人達を視界に入れながらまた自分で立ち上がり、走った。



雪が凍りツルツルと滑る氷の道を、雪がやんだ青い空の下を走りまくった。



疲れも足の痛みも何も感じない。



ただ1つだけ残っている私の強い強い感情は・・・



「青さん、酷いよ・・・・・・っっ!!
こんな風に私のことを追い出そうとして・・・!!!!
こんな風に私のことを捨てようとして・・・!!!
もっと普通に追い出してよっっ!!!
もっと普通に捨ててよっっっ!!!!」



怒りの感情だった。



青さんの会社に戻るなり青さんに怒鳴り付けた私のことを、青さんは真顔でジッと見てきた。



こんなの、悲しいを通り越して怒りしかない。



「あんな女まで準備して・・・!!
あの女、永家からの新しい駒かなとも思ったけど、よく思い返すと青さんは昔だけじゃなくて今もあの女のことを知ってた・・・!!
青さんが準備したんでしょ!!?
もう私の案件が嫌になって!!!
でも会社は渡したくなくて!!!
私に弱みを握らせない為に、青さんがあんな女まで準備したんでしょ・・・!!!?」



怒りで唇が震えてくる。



「酷いよ・・・・っっ!!!
もっと普通に追い出して、もっと普通に捨ててよ・・・・っっ!!
いくら私に何の弱みを握らせない為とはいえ、こんなやり方は酷すぎるよ・・・っっ!!」



怒りで身体の中から震えてくる。



私はこんなに怒っているのに青さんは真顔で私のことを見下ろし、それからチラッと私の向こう側を見た。



青さんの視線を追うと、そこには守君がいて・・・。



「だから、言ったじゃん?
こいつは今回の件に何も関わってない。」



そんなよく分からないことを守君が言った瞬間・・・



「・・・・・・・ゎっ」



私の視界が真っ黒になった。



そして凍っていた私の身体は”何か“に覆われ、私の鼻にはよく知っている匂いが入ってきた。



青さんの温もりと匂いに包まれ、この”黒“が青さんのジャケットなのだと気付いた。



「みんな、気にしないでね。
仕事続けて。」



”社長“の青さんがそう言った後、青さんのジャケットに頭から覆われている私の腕を掴み、強引に何処かへ歩かされた。
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