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20-16

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「それ・・・昔和希が友実ちゃんに言った言葉だね。」



「うん、それで本当に高校まで来てヤバい奴だよね。
でも私も殺しに行くよ。
和君と望ちゃんのことを虐める奴がいたら、私が本当に殺しに行くから。」



無気力な目のはずなのに、その目の中にはヤバい奴の光りが確かにある。
この目は知っている。
私のお兄ちゃんの目にソックリで。



”相変わらずヤバい子だな。“



と、今日も思うけれど・・・



「ありがとう、友実ちゃん・・・。
虐められたらすぐに友実ちゃんに言う・・・。
絶対に言う・・・。」



絶対に私の味方になってくれるという安心感を今日は感じた。



友実ちゃんに何が出来るのかは分からないし、友実ちゃんに出来ることなんて何もないとも思うのに、私の凍えた心は確かに温まった。



「じゃあ、望ちゃんに1つだけ面白い話してあげる。」



「うん。」



「オ◯ニ―してる和君のことを見ちゃった時なんだけどね、その時に和く・・・」



「いや、無理、マジで無理、キモすぎて1ミリも笑えない。」



友実ちゃんと会ったら、さっきあった死にそうな出来事が何でか薄まった。



白い雪が、青さんと野々ちゃんの後ろ姿をほんの少しだけ見えなくしてくれたような。



「頑張れ、望ちゃん。」



お兄ちゃんの家を出る時、友実ちゃんから初めてそんなことを言われた。



「和君には毎日何度もそう言ってるんだ。
そう言われると、和君頑張れるんだって。
だから望ちゃんも頑張れ!」



「うん、頑張る・・・。」



そう答えた私に、望ちゃんが傘立てにある傘を1本手渡してくれた。



お兄ちゃんの家から外に出ると、暗くてめちゃくちゃ寒い世界が何処までも広がっていて。



でも、広げた傘には・・・・



青(あお)と沢山の星が、あった。



「それ、望ちゃん用の傘!
和君が準備してたんだよね!あげる!」



もう私の青(あお)も星も消え去ったはずなのに、またこの手に戻ってきてしまった。



私の所に一瞬で戻ってきてしまった。



お兄ちゃんにより強引に戻ってきた。



お兄ちゃんは気付いている。



私が青さんのことを男として好きなのだと絶対に分かっている。



そして私が”大バカなダメ秘書”なことも勿論知っている。



なのに・・・



「何でこんな傘を私に準備したの・・・!?
私には到底理解出来ないよ・・・!!」



雪が降る静かな世界で嘆く。



「青さん・・・っ、会いたいよぉ・・・・・っ」



私の青(あお)と星を求めながら、雪が積もり始めた道を号泣しながらも、歩き続けた。
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