上 下
282 / 345
18

18-15

しおりを挟む
「大バカすぎるよ・・・。」



そう文句を言いながら、私から両手を青さんに伸ばした。



そしたら青さんは両手を広げて私のことを受け止めてくれた。



青さんの大きな身体をギュッと抱き締める。



「青さんのその”愛してる“は凄く嫌なはずなのに・・・。
どうしようもなく“嬉しい”とも思っちゃう私も、大バカなのかな・・・。
”大バカなダメ秘書“なのかな・・・。」



普通の人なら出来ない“愛している”を私に渡そうとしてくれる青さんの腕の中で、また泣いた。



「もうイライラは消えたけど、今日の夜ご飯はこれだけで良い?
これからほうれん草のパウンドケーキを作らないといけなくて。」



「ほうれん草でケーキ?」



「守君に渡したくて。」



「ああ、守ってほうれん草食えないけど、ケーキにしたら食えるかもな。
・・・・って、俺には?
旦那の俺じゃなくて何で守が先に望からケーキ作って貰うんだよ!!!」



「え、待って待って。
そんなことよりも守君ってほうれん草食べられないの?
じゃあこの前のあの会話なに!?
星野家の男達ってみんなバカなの!?」



今日も1日が終わっていく。



青さんと夫婦でいられる時間がこうして終わっていく。



嫌なことも沢山あった1日だけど、1日の最後がこうやって笑えるなら幸せなのかもしれない。



“青さんとの夫婦生活が終わる日も、こうして笑いながら終われるといいな・・・。”



悲しいけれど、悲しいだけにはならないで欲しい数日後の未来を想像しながら、青さんの腕の中で大きく笑った。



「俺には甘いケーキな!!!!
甘々にしておけよ、俺は甘い方が大好きなんだよ!!!!
あ!!!バレンタインはちゃんと俺に渡せよ!!!?
望からのバレンタインは一平に作ったクソ不味いヤツの残りしか食ったことねーし!!!」



2月14日のバレンタインの前には、きっと夫婦ごっこは終わりを迎えている。



野々ちゃんからのケーキを貰う青さんの姿を想像してしまいそうになり、慌ててそれは消し去った。



「甘いケーキね、分かった。」



私からのバレンタインを凄く凄く嬉しそうに受け取ってくれた青さんの姿だけを、今は妄想していく。



幸せしかない妄想を青さんに抱き締めて貰いながらしていく。



“大丈夫・・・。”



“加藤望でもちゃんと幸せ・・・。”



“だからまだ頑張れる。”



“まだまだ私は頑張れる。”










·
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。

恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。 飼主さんが大好きです。 グロ表現、 性的表現もあります。 行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。 基本的に苦痛系のみですが 飼主さんとペットの関係は甘々です。 マゾ目線Only。 フィクションです。 ※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜合体編〜♡

x頭金x
恋愛
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

処理中です...