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「ごめ・・・・・、寝てた・・・・。」



青さんが太くて重い腕で私のことを自分の身体に引き寄せた。



「ごめ・・・・・・・・、寝る・・・・。」



背中に青さんの大きな大きな身体を感じながら、泣きそうになりながら聞く。



「青さん・・・・。」



「ん・・・・・。」



「青さん・・・・・。」



「ン・・・・・・。」



「青さん・・・・・。」



「・・・・・・・。」



「青さん・・・・・。」



「・・・・・・・。」



青さんがまた寝たのを確認出来たので、聞いた。



「私のこと、本当に好き・・・?」



その質問を口にした瞬間、この目から涙が大量に溢れ出した。



口からは嗚咽まで出てくる。



「野々ちゃんってねっ、めちゃくちゃ青さんが好きな顔なんだよ・・・っ。」



野々ちゃんと出会った瞬間の青さんの顔を妄想する。



「野々ちゃんと出会っても・・・、私への“愛してる”を・・・・・・っっ」



“なくさないで・・・・・・っっ”



最後のその言葉は必死に心の中に押し込んだ。



でも、私の心はとっくの昔に青さんから割られてしまっているので・・・



「私は千尋ちゃんみたいに出来る自信がないよ・・・。
立派な秘書になって一平さんの所へ帰らなきゃいけないのに、私の目の前で青さんが野々ちゃんに恋をする所を見たくない・・・。」



その気持ちは口にした。



青さんの本当の弱みは私ではなく野々ちゃんになる。



私への暗示や洗脳なんて、亀さんの双子である鶴さんの孫娘、野々ちゃんと出会った瞬間に絶対に解ける。



本当の恋に・・・、本当の“愛してる”に絶対に気付く。



そして、私のことなんて絶対に“好き”でも“愛してる”でもなくなる。



そうなったらもう、青さんが増田財閥を崩壊させる理由なんて小さな物になる。



私への気持ちなんて小さな小さな物になる。



寝ながらも強く強く私のことを抱き締めてくれている青さんの腕に両手でしがみついた。



“その時”が来たら、青さんのこの腕にしがみつくことなんて出来ないから。
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