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「ノンノンが腹にいるのにこんなに身体を冷やしやがって・・・。」



青さんの家に帰ってきた後、すぐに一平さんのスーツのジャケットも私のスーツも、下着も、”一平さんの第2ボタン“も外され浴室に押し込められた。



熱いシャワーのお湯を裸の青さんから掛けられ、冷えた身体が一瞬だけ”気持ち良い“と思ったけれど・・・



「痛・・・・・・っっ」



お湯が私の足元に流れた瞬間、あまりの痛さに声が漏れた。



「腹・・・?」



心配そうな青さんに首を横に振ってから、自分の足元を見下ろした。



「靴擦れ・・・。」



シャワーの湯気が浴室に充満していく中でも酷い靴擦れの傷がハッキリと見える。



「あの距離を歩いて帰る奴が何処にいるんだよ・・・。」



そんなことを言いながらも青さんがすぐにしゃがみ、私の足元を大きな大きな手で優しく包んだ。



「青さんがすぐに追ってきてくれると思ったんだもん・・・。」



「うん・・・。」



「青さんが追いついてくれると思ったんだもん・・・。」



「うん・・・。」



シャワーの温かいお湯で顔を濡らしながら、泣いた。



「あの時は、小関の”家“に帰りたくないって思ったんだもん・・・。」



「うん・・・。」



「あの家は私の”家“でもあるけど、普通の家じゃないんだもん・・・。」



「うん・・・。」



「5分も何してたの・・・っ。」



泣きながら聞いた私に青さんはゆっくりと立ち上がり、私のことをキュッと抱き締めた。



「セックスまでして良いのか悩みまくってた・・・。
後で望がパニックになる姿を妄想して、すげー怖いと思ってた・・・。」



青さんが私の身体を強く抱き締める。



「俺が会社を増田財閥に渡せば望のこの案件も終わると思って、それが1番良いのかとも考えてた・・・。」



青さんが痛いくらい私の身体を抱き締めてくる。



「一平と結ばれる未来がなくても、今この瞬間の苦痛から望を解放させてやりたいと本気で考えてた・・・。」



「うん・・・・。
それで良いんだよ・・・。」



「分かってる・・・。
でも、俺が嫌なんだよ・・・っ。」



青さんの苦しそうな叫びが湯気の中で反響した。



「俺の”愛してる“はコレなんだよ・・・。
望が好きな男と結ばれる為なら何でも出来る”愛してる“なんだよ・・・。
”普通“の女の子として普通に愛してる男と結ばれる望の未来を俺がつくるんだよ・・・。」



増田財閥の清掃員として青さんの弱みを握り、青さんの会社を渡して貰う。
その為に私はまた青さんの所に戻ってきた。



それは分かっている。



ちゃんと分かっている・・・。



でも、今は・・・



青さんからの”愛してる“を受け止めた。



それくらい大きくて深い青さんからの”愛している“を大切に大切に受け止め、青さんの大きな背中に両手を回した。



「でも俺は、望とノンノンの為にやっぱり”照之“でいたい・・・。
俺が増田財閥をぶっ壊すまでは、望とノンノンの”照之“として2人の傍にいたい・・・。
望の旦那として、ノンノンの父親として、幸せな時間もやっぱり過ごしたい・・・。」



「うん・・・。」



「それが俺の弱みだけどな・・・。
これが俺の1番の弱みだよ・・・。
これ以上の弱みなんて俺にはねーよ・・・。」



「うん・・・。」



「そんなことを5分くらい考えまくってて望のことを追うのが遅くなった・・・。
ごめんな?」



「うん・・・。」



「次に望が家出をしても、絶対にダッシュで追い掛けるから今回はマジで許して。」



「・・・・エッチしてくれたら許すよ。」



そう答えてから、青さんにニッコリと笑い掛けた。



「ずっとおちんちんがしょんぼりしてるけど、やっぱりおちんちんまで10歳老け込んじゃった?」
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