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定時後
「お先に失礼しま~す・・・。」
誰からも相手にして貰えない中、定時になったので青さんの会社を出た。
「私って本当に“ダメ秘書”すぎてしんどい・・・。」
小さく呟きながらビルから一歩、足を踏み出した時・・・
「加藤さん。」
女の人の声が私のことを呼んだ。
その声の主を探してみると、そこには安藤香奈がいて・・・。
「何でまた泣いてるの?
アナタ、本当は全然泣かないような女なんでしょ?」
険しい顔でそう言ってきた安藤香奈が小さくだけど普通の顔で笑った。
「アナタ、清掃員としてうちの会社に来てくれてたんだってね。
会社名は社長が教えてくれなかったから、尾崎君に連絡をしてアナタの友達だっていう男から聞き出して貰った。
もっと早く言いなさいよ、そしたら私だってアナタに協力したのに。」
「言ったじゃないですか、尾崎先生の元生徒で今でも結構仲が良いって。
安藤さんこそ早く尾崎先生に私のことを聞いてくれれば良かったのに。」
「私、基本的には人の陰口は言わないの。
面と向かって言うから。」
「ですよね。
だから安藤さんって、嫌われる時はめちゃくちゃ嫌われそうな女ですよね。」
「そうなのよ、だから前職では問題ばっかり起こしてて。」
「でも、三山社長は採用してくれた、と。」
「そう、社長って見る目があるんだよね。
私のことを採用したくらいだし。」
「そういうところですよ、嫌われるのは。」
「でも社長は私のこういう所が良いって認めてくれる人で。」
「それで、好きになったんですね。」
「そう、男として本気で好き。」
「女性社員のみなさんはそんな感じなんでしょうね。
だからほとんどの女性社員が“Hatori”の物を持ってた。
三山社長の大好きなブランドで、最新の物を持てば“Hatori”以外のブランド物に疎い三山社長でも気付いてくれるから。」
「そうだね、そんな小さなことでも嬉しいって思わせる男なの、社長は。
女からだけじゃない、男達からも社長は慕われてる。」
「そうですね、だから男性社員達に相談をするべきだったと思います。
女性社員達よりも仕事は出来なかったかもしれませんが、そんな男性社員達がちゃんと知っていましたよ、三山社長が不倫なんてしていないって。」
そこまで言った後、安藤香奈のことをよく観察しながら続けた。
「大西君以外は。」
ほんの少しだけ反応を見せた安藤香奈に、思わず笑顔で言った。
「大西君の彼女って、安藤さんですよね?」
「お先に失礼しま~す・・・。」
誰からも相手にして貰えない中、定時になったので青さんの会社を出た。
「私って本当に“ダメ秘書”すぎてしんどい・・・。」
小さく呟きながらビルから一歩、足を踏み出した時・・・
「加藤さん。」
女の人の声が私のことを呼んだ。
その声の主を探してみると、そこには安藤香奈がいて・・・。
「何でまた泣いてるの?
アナタ、本当は全然泣かないような女なんでしょ?」
険しい顔でそう言ってきた安藤香奈が小さくだけど普通の顔で笑った。
「アナタ、清掃員としてうちの会社に来てくれてたんだってね。
会社名は社長が教えてくれなかったから、尾崎君に連絡をしてアナタの友達だっていう男から聞き出して貰った。
もっと早く言いなさいよ、そしたら私だってアナタに協力したのに。」
「言ったじゃないですか、尾崎先生の元生徒で今でも結構仲が良いって。
安藤さんこそ早く尾崎先生に私のことを聞いてくれれば良かったのに。」
「私、基本的には人の陰口は言わないの。
面と向かって言うから。」
「ですよね。
だから安藤さんって、嫌われる時はめちゃくちゃ嫌われそうな女ですよね。」
「そうなのよ、だから前職では問題ばっかり起こしてて。」
「でも、三山社長は採用してくれた、と。」
「そう、社長って見る目があるんだよね。
私のことを採用したくらいだし。」
「そういうところですよ、嫌われるのは。」
「でも社長は私のこういう所が良いって認めてくれる人で。」
「それで、好きになったんですね。」
「そう、男として本気で好き。」
「女性社員のみなさんはそんな感じなんでしょうね。
だからほとんどの女性社員が“Hatori”の物を持ってた。
三山社長の大好きなブランドで、最新の物を持てば“Hatori”以外のブランド物に疎い三山社長でも気付いてくれるから。」
「そうだね、そんな小さなことでも嬉しいって思わせる男なの、社長は。
女からだけじゃない、男達からも社長は慕われてる。」
「そうですね、だから男性社員達に相談をするべきだったと思います。
女性社員達よりも仕事は出来なかったかもしれませんが、そんな男性社員達がちゃんと知っていましたよ、三山社長が不倫なんてしていないって。」
そこまで言った後、安藤香奈のことをよく観察しながら続けた。
「大西君以外は。」
ほんの少しだけ反応を見せた安藤香奈に、思わず笑顔で言った。
「大西君の彼女って、安藤さんですよね?」
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