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“一美さん・・・。”
心の中で一美さんのことを呼ぶ。
“一美さん・・・。”
“私・・・私、今・・・譲社長から任命をされて青さんの弱みを握りに行っています・・・。”
“家が育てた“愛している”人ではなく、私自身が自然と“愛した”人、青さんの弱みを握り、ワンスターエージェントを増田財閥に合併させようとしています・・・。”
“青さんとの“結婚生活”は凄く幸せです・・・。”
“でも・・・”
その続きを心の中で言おうとした時、見えた。
私の視界の中に美しい手の平があるのが。
昔から一美さんは手を差し伸べてくれる。
一美さんは私のことを妹のように愛してくれている。
私は“ダメ秘書”だから一美さんに泣き付きたくなる。
青さんから割られた心から溢れる気持ちをこの口から出そうとしてしまう。
“一美さん・・・。”
“一美さん・・・。”
“わたし・・・、私・・・・っ本当は、私も本当に・・・しあわせに・・・・・っっ”
その続きを心の中で言ってしまう前に、慌てて一美さんの美しい手を握った。
そんな私のことを一美さんはとても優しい顔で笑い、私のことをゆっくりと立たせてくれた。
“可哀想”な演技などしなくても、私は一美さんの前ではよく“可哀想”な人間になってしまう。
私は“ダメ秘書”だからそうなってしまう。
でも、私はこれで良い。
これ“が”良い。
優しい笑顔を続けながらも、その目に火が付いた一美さんの瞳を確認し、私は心の中で頷いた。
“起きてください、一美さん。”
“崩壊していた分家の中で、お嬢様としてよく頑張りましたね。”
“そろそろ起きる時間ですよ。
綺麗で正しいお嬢様としてだけではなく、“いけないコト“だって出来る強いお嬢様になる時間です。”
一美さんの温かい手をギュッと握り、一美さんの美しすぎる横顔に心の中で伝えた。
“増田財閥の為だけではなく、一美さん自身の為にも必ず幸せになってください。”
“お兄ちゃんや私の分まで、必ず幸せになってください。”
“それがお兄ちゃんの幸せなんです。“
”私の幸せなんです・・・。“
”私は加藤望。
増田財閥の分家、小関の”家“の秘書である加藤の”家“に生まれた。“
”私の身体も心も小関の”家“のモノ。“
”だから私は手足を汚せる。“
”私の心だって汚せる。“
”何度だって自分を殺せる。“
”小関の”家“が生き続ける限り、私は何度でも生き返ることが出来るから・・・。“
”きっと・・・きっと、出来るから・・・。“
そう思うのに凄く凄く怖くなり、青さんから貰ったロングコートの上から必死に一平さんの第2ボタンをおさえた。
”一平の、奪い取ってきてやった!!“
あの時の青さんの姿を思い出す。
”青さん・・・。“
”青さん・・・。“
“私はコレがあるから大丈夫なんです・・・。“
”私はコレがあるから頑張れます・・・。“
”小関の”家“の秘書として、逃げることなく生き続けられます・・・。“
お兄ちゃんからの暗示や洗脳による”愛している“と言ってくれている青さんの姿ではなく、私はあの時の青さんが1番好きだった。
仕事以外では気合いを入れまくらないと嘘1つつけないはずの青さんが、死ぬ気でつき続けるという嘘。
それは恐らく、この第2ボタンのこと。
私は知っている。
この第2ボタンが一平さんのモノではなく青さんの第2ボタンなのだと。
でも・・・
これは”一平さんの第2ボタン“。
青さんが私の為だけにつくり上げてくれた、”一平さんの第2ボタン“。
アレは本当に”一平さんの第2ボタン“だった。
最初から嘘だと分かっていたのに、青さんは私に渡してくれた。
何処をどう見ても一平さんの第2ボタンにしか見えない空間を、私に渡してくれた。
“青さん、私頑張るよ。“
”秘書として頑張るよ。“
”私が受け取ったのはこの第2ボタンだけではない。“
””一平さんの第2ボタン“と一緒に青さんの嘘も受け取った。“
”とても優しい嘘を。“
”とてもとても温かい嘘を。“
”私は、青さんがついてくれたその嘘が嬉しかった。“
”凄く凄く、嬉しかったんだぁ。“
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心の中で一美さんのことを呼ぶ。
“一美さん・・・。”
“私・・・私、今・・・譲社長から任命をされて青さんの弱みを握りに行っています・・・。”
“家が育てた“愛している”人ではなく、私自身が自然と“愛した”人、青さんの弱みを握り、ワンスターエージェントを増田財閥に合併させようとしています・・・。”
“青さんとの“結婚生活”は凄く幸せです・・・。”
“でも・・・”
その続きを心の中で言おうとした時、見えた。
私の視界の中に美しい手の平があるのが。
昔から一美さんは手を差し伸べてくれる。
一美さんは私のことを妹のように愛してくれている。
私は“ダメ秘書”だから一美さんに泣き付きたくなる。
青さんから割られた心から溢れる気持ちをこの口から出そうとしてしまう。
“一美さん・・・。”
“一美さん・・・。”
“わたし・・・、私・・・・っ本当は、私も本当に・・・しあわせに・・・・・っっ”
その続きを心の中で言ってしまう前に、慌てて一美さんの美しい手を握った。
そんな私のことを一美さんはとても優しい顔で笑い、私のことをゆっくりと立たせてくれた。
“可哀想”な演技などしなくても、私は一美さんの前ではよく“可哀想”な人間になってしまう。
私は“ダメ秘書”だからそうなってしまう。
でも、私はこれで良い。
これ“が”良い。
優しい笑顔を続けながらも、その目に火が付いた一美さんの瞳を確認し、私は心の中で頷いた。
“起きてください、一美さん。”
“崩壊していた分家の中で、お嬢様としてよく頑張りましたね。”
“そろそろ起きる時間ですよ。
綺麗で正しいお嬢様としてだけではなく、“いけないコト“だって出来る強いお嬢様になる時間です。”
一美さんの温かい手をギュッと握り、一美さんの美しすぎる横顔に心の中で伝えた。
“増田財閥の為だけではなく、一美さん自身の為にも必ず幸せになってください。”
“お兄ちゃんや私の分まで、必ず幸せになってください。”
“それがお兄ちゃんの幸せなんです。“
”私の幸せなんです・・・。“
”私は加藤望。
増田財閥の分家、小関の”家“の秘書である加藤の”家“に生まれた。“
”私の身体も心も小関の”家“のモノ。“
”だから私は手足を汚せる。“
”私の心だって汚せる。“
”何度だって自分を殺せる。“
”小関の”家“が生き続ける限り、私は何度でも生き返ることが出来るから・・・。“
”きっと・・・きっと、出来るから・・・。“
そう思うのに凄く凄く怖くなり、青さんから貰ったロングコートの上から必死に一平さんの第2ボタンをおさえた。
”一平の、奪い取ってきてやった!!“
あの時の青さんの姿を思い出す。
”青さん・・・。“
”青さん・・・。“
“私はコレがあるから大丈夫なんです・・・。“
”私はコレがあるから頑張れます・・・。“
”小関の”家“の秘書として、逃げることなく生き続けられます・・・。“
お兄ちゃんからの暗示や洗脳による”愛している“と言ってくれている青さんの姿ではなく、私はあの時の青さんが1番好きだった。
仕事以外では気合いを入れまくらないと嘘1つつけないはずの青さんが、死ぬ気でつき続けるという嘘。
それは恐らく、この第2ボタンのこと。
私は知っている。
この第2ボタンが一平さんのモノではなく青さんの第2ボタンなのだと。
でも・・・
これは”一平さんの第2ボタン“。
青さんが私の為だけにつくり上げてくれた、”一平さんの第2ボタン“。
アレは本当に”一平さんの第2ボタン“だった。
最初から嘘だと分かっていたのに、青さんは私に渡してくれた。
何処をどう見ても一平さんの第2ボタンにしか見えない空間を、私に渡してくれた。
“青さん、私頑張るよ。“
”秘書として頑張るよ。“
”私が受け取ったのはこの第2ボタンだけではない。“
””一平さんの第2ボタン“と一緒に青さんの嘘も受け取った。“
”とても優しい嘘を。“
”とてもとても温かい嘘を。“
”私は、青さんがついてくれたその嘘が嬉しかった。“
”凄く凄く、嬉しかったんだぁ。“
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