【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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─────────────・・・・



オデコに冷たい感覚があり、フッと目を開けた。



「ごめんなさい、起こしちゃいましたね。
今帰りました、夜の8時です。
お粥とゼリーは買ってきましたけど、食べられそうですか?」



「うん・・・。
お帰りなさい・・・。」



「ただいまです。」



照れたように笑う野乃ちゃんの顔も凄く可愛くて。



「顔が真っ赤ですね、可愛い。」



「可愛いのは野乃ちゃんだよ・・・。」



「それはナイですよ。」



悲しそうに笑う野乃ちゃんがベッドの横から立ち上がり、「お粥を温めてきますね。」と言ってすぐそこのキッチンへと歩いていった。



重すぎる瞼をまた閉じると、キッチンから聞こえる音だけが静かにこのワンルームの部屋に響いていく。



冷えピタではなく濡らしたタオルをオデコにのせられ、その気持ち良さにさっきよりもずっと楽になった。



そう思っていた時、スマホの振動が聞こえてきた。



私のスマホなのだと思い必死に目を開けると・・・



「もしもし。」



野乃ちゃんが小声で電話に出た声が聞こえ、私のスマホは何も震えていないのだと分かった。



「今はお客さんが来てるから、ごめんね?
・・・・・・・・・・・・・今日は無理で。
・・・・・・・・・・・今日はここにお泊りしていくから、今日は無理なの。」



そんな会話から始まった電話を聞き、この家に来たがっている人がいるのだと分かった。



「ごめんね・・・。
さっきの電話、友達・・・?」



お盆にお粥とゼリーとポカリを持ってきてくれた野乃ちゃんに聞くと、野乃ちゃんはやけに明るい声を出した。



「友達です!!
でもぜんっっっっぜん大丈夫ですから!!」



大丈夫ではないからこんなに明るい声を出しているのか、野乃ちゃんは明るく笑い続けている。



「明日には出ていくから・・・。
ていうか、インフル移っちゃうよね、本当にごめん・・・。」



「私よりも本当に頑張って生きてきただろうから、インフルくらい移されても何も思いませんから!!」



「めっちゃ優しいね・・・。」



「私は全然優しくないですよ?
こんな顔ですし、私は中身までキツい女なんですよね。」



「私はこんな顔だけど中身は全然女っぽくないよ?」



のっそりと起き上がった私に野乃ちゃんはクスクスと楽しそうに笑う。



「それは結構すぐに気付きました!
私がその顔で生まれてたらめっちゃブリっ子しまくって、男をたぶらかしまくってたのに!!」



「こんな顔でもたぶらかしまくることなんて出来ないよ・・・。
野乃ちゃんみたいな顔が好きな男もいるもん。」



「それは・・・、はい、なんかいますよね。
特殊な好みですよね~・・・。」



野乃ちゃんが何かを思い出しながらクスクスと笑い、スッと立ち上がった。



「少しだけ出てきますね。
さっきの電話の友達が近くまで来ているみたいで、ちょっと行ってきます。」



「うん、暗いから気を付けてね。
行ってらっしゃい。」



「行ってきます。」



すぐそこにある玄関から出て行った野乃ちゃんの後ろ姿を確認した後、笑顔を作っていた顔が自然と真顔に戻った。



「鶴さんの孫だと思ったら甘えちゃった・・・。
明日から何処に行こう・・・。」



小関の”家“には帰れない。



青さんの”家“にだって帰れない。
青さんにインフルエンザを移してしまうし、それにあの家は私がいて良い場所ではない。



譲社長からの案件がなければ私なんて青さんと一緒にいられなかったような女で。



お兄ちゃんからの暗示と洗脳がなければ私なんて青さんから拾って貰えなかったような女で。



私ではない。



青さんと一緒にいられるのは、本当だったら私ではない。



「インフル、つっっっっら・・・・」



悪い方に悪い方にばかり考えてしまう頭をブンブンと回した後、クラクラしてきた頭のままお粥を少しずつ食べていった。
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