163 / 422
11
11-7
しおりを挟む
それには驚き何も言えない私に、青さんは真面目な顔のまま続ける。
「望の所のお嬢様を見に鎌田の美容院に行ったら、“羽鳥一美”があの時の女でマジでビビった。
“好きな男”でもなく“好きな男の子”、望がそう表現をした理由もよく分かった。
あの男は確かに“男の子”だな、まだまだ若い。」
無言で頷いた私に青さんは言ってくる。
「でも、それは年齢の話だな。
“年齢の割にしっかりしてる”どころか、あいつは“めちゃくちゃ良い男”だと俺は毎月思ってた。」
「毎月、ですか・・・。」
「月に1度は必ず会ってるからな。」
「そっ・・・・・か。
青さんの会社の今の担当って、お嬢様のお相手ですか?」
「そうだな、安倍(あんべ)さんにはお世話になってる。
いや、本当は“安倍さん”じゃなく“安倍先生”だよな。」
青さんの言葉に私も頷く。
そんな私に青さんは楽しそうに笑って・・・
「3月の誕生日でやっと24歳になる公認会計士、安倍幸治(こうじ)。
望の所のお嬢様より7歳も8歳も年下の男を“お兄ちゃん”は認めたのか。」
楽しそうに笑いながらも私のことをジッと見てくる青さんに、私は深く頷いた。
「認めたとかそんな話ではなく、一美さんが安倍さんと出会うずっと前からお兄ちゃんは安倍さんと出会っています。
一美さんにお兄ちゃんと“いけないコト”をさせない為、中学卒業と同時にお兄ちゃんは小関の”家”を出て一人暮らしをしていました。
その先にあったのが“中華料理屋 安倍”。
安倍さんは中学生の時から新聞配達をし家計を支え、お母さんの再婚相手であるお父さんからの厳しい修行も乗り越え、高校生にしてお店の店主として働き、新しい家族の絆を守る為に動き続けていた“お兄ちゃん”です。」
「安倍さんからは6人きょうだいの1番上だとは聞いたことがある・・・。」
「6人ではなく7人かもしれませんね。
私のお兄ちゃんも安倍さんにはめちゃくちゃお世話になっていたので。」
「“お兄ちゃん”が・・・?」
「はい、安倍さんは私のお兄ちゃんの“お兄ちゃん”でもありました。
お兄ちゃんは7歳も8歳も年下の男の子のことを“お兄ちゃん”と呼んで慕っていました。
本気で、慕っていました。
そんな男の子とお嬢様が出会った。」
「”お兄ちゃん“が出会わせた、ではなく?」
「はい、あの2人の出会いにうちのお兄ちゃんは何の関与もしていません。
本当にたまたま・・・、たまたま、うちのお嬢様が自分から”中華料理屋 安倍“の扉を開けた。」
一美さんの24歳の誕生日の日、ご主人様と奥様は一美さんに”自由“をプレゼントした。
崩壊していく財閥から一美さんのことを解放しようとしていた。
一美さんの覚悟も一美さんの気持ちも無視をして、親としてどうしてもソレを与えたいと2人は思った。
一美さんがそのプレゼントにどれ程傷付いてしまうのかと心配をしながら、ご両親とのランチに嬉しそうに出掛けていく一美さんのことを私は見送っていた。
「ご両親の離婚により深く傷付いた一美さんのことを救い上げてくれたのは、当時高校2年生だった安倍さんでした。
一美さんがたまたま、本当にたまたま自分で扉を開けた所にいた男子高校生。
自分でお店の扉を開けたこともないくらいのお嬢様である一美さんが、ああいうお店に入ることは”いけないコト“とされているくらいのお嬢様である一美さんが、自分で扉を開けた初めてのお店にいたのが安倍さんだった。」
「望の所のお嬢様を見に鎌田の美容院に行ったら、“羽鳥一美”があの時の女でマジでビビった。
“好きな男”でもなく“好きな男の子”、望がそう表現をした理由もよく分かった。
あの男は確かに“男の子”だな、まだまだ若い。」
無言で頷いた私に青さんは言ってくる。
「でも、それは年齢の話だな。
“年齢の割にしっかりしてる”どころか、あいつは“めちゃくちゃ良い男”だと俺は毎月思ってた。」
「毎月、ですか・・・。」
「月に1度は必ず会ってるからな。」
「そっ・・・・・か。
青さんの会社の今の担当って、お嬢様のお相手ですか?」
「そうだな、安倍(あんべ)さんにはお世話になってる。
いや、本当は“安倍さん”じゃなく“安倍先生”だよな。」
青さんの言葉に私も頷く。
そんな私に青さんは楽しそうに笑って・・・
「3月の誕生日でやっと24歳になる公認会計士、安倍幸治(こうじ)。
望の所のお嬢様より7歳も8歳も年下の男を“お兄ちゃん”は認めたのか。」
楽しそうに笑いながらも私のことをジッと見てくる青さんに、私は深く頷いた。
「認めたとかそんな話ではなく、一美さんが安倍さんと出会うずっと前からお兄ちゃんは安倍さんと出会っています。
一美さんにお兄ちゃんと“いけないコト”をさせない為、中学卒業と同時にお兄ちゃんは小関の”家”を出て一人暮らしをしていました。
その先にあったのが“中華料理屋 安倍”。
安倍さんは中学生の時から新聞配達をし家計を支え、お母さんの再婚相手であるお父さんからの厳しい修行も乗り越え、高校生にしてお店の店主として働き、新しい家族の絆を守る為に動き続けていた“お兄ちゃん”です。」
「安倍さんからは6人きょうだいの1番上だとは聞いたことがある・・・。」
「6人ではなく7人かもしれませんね。
私のお兄ちゃんも安倍さんにはめちゃくちゃお世話になっていたので。」
「“お兄ちゃん”が・・・?」
「はい、安倍さんは私のお兄ちゃんの“お兄ちゃん”でもありました。
お兄ちゃんは7歳も8歳も年下の男の子のことを“お兄ちゃん”と呼んで慕っていました。
本気で、慕っていました。
そんな男の子とお嬢様が出会った。」
「”お兄ちゃん“が出会わせた、ではなく?」
「はい、あの2人の出会いにうちのお兄ちゃんは何の関与もしていません。
本当にたまたま・・・、たまたま、うちのお嬢様が自分から”中華料理屋 安倍“の扉を開けた。」
一美さんの24歳の誕生日の日、ご主人様と奥様は一美さんに”自由“をプレゼントした。
崩壊していく財閥から一美さんのことを解放しようとしていた。
一美さんの覚悟も一美さんの気持ちも無視をして、親としてどうしてもソレを与えたいと2人は思った。
一美さんがそのプレゼントにどれ程傷付いてしまうのかと心配をしながら、ご両親とのランチに嬉しそうに出掛けていく一美さんのことを私は見送っていた。
「ご両親の離婚により深く傷付いた一美さんのことを救い上げてくれたのは、当時高校2年生だった安倍さんでした。
一美さんがたまたま、本当にたまたま自分で扉を開けた所にいた男子高校生。
自分でお店の扉を開けたこともないくらいのお嬢様である一美さんが、ああいうお店に入ることは”いけないコト“とされているくらいのお嬢様である一美さんが、自分で扉を開けた初めてのお店にいたのが安倍さんだった。」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる