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「”一平の所の子“、”一平の所の子“、”一平の所の子“、”一平の所の子“・・・。」



亜里沙さんが狂ったようにそう繰り返し、美人だけどキツい顔を私に向け続ける。



「何度聞いたかなんて分からない。
付き合ったばっかりの私の名前を呼ぶ時より、私と向き合って話す時より、私とキスやエッチをする時より、”一平の所の子“の話をする時の青君の顔は凄く凄く優しい顔をしてた。
私には1度も向けたことがない顔をしてた。」



「それは青さんが私の兄から暗示と洗の・・・」



「クリスマスの日に青君と初エッチが出来た後、私青君から何て言われたと思う?」



「犬が煩くて全然集中出来なかった?」



「違う・・・。」



「期待が大きすぎて”こんなもんか“くらいだった?」



「・・・・ちょっと青君、私との初エッチをそんな風に思ってたの!!?」



「あ・・・っ、ごめんなさい!!
でも亜里沙さんとだけじゃなくて他の彼女さんの時も同じ感じだったので大丈夫ですから!!」



「それ何も大丈夫じゃないからね!?」



亜里沙さんがキツい顔をもっとキツくして私に怒ってきて、確かにその顔はめちゃくちゃ怖くて焦ってしまう。



「まあ・・・とにかく、暗示だか洗脳だかは知らないけど、私としては羨ましかった。
私とのエッチが終わって、私がマ◯コに一旦見えなくなった青君は何度も気にしてた。」



「何をですか・・・?」



「”一平の所の子“は少しでも楽しいクリスマスを過ごせてるか、何度も何度も何度も心配しながら口に出してた。」



「それは・・・全然知らなかったです・・・。」



「それで、”やっぱり、俺が一緒に遊んでやればよかった“とまで言われた。
彼女との初エッチを終えたクリスマスの日に、私は青君からそんなことを言われた。」



「え、それは普通に最低。」



「私はずっっっと”一平の所の子“にムカついてた。
青君からマ◯コとして見られていない“一平の所の子”である中学2年生の女の子のことが凄く凄く嫌いで・・・、マ◯コじゃないその女の子のことが私はずっっっっっと羨ましかった。」



「マ◯コ・・・。」



思わずそっちに反応してしまい、青さんのことを見上げた。
青さんもそれには同じように反応していて、「男なんてみんなそんなもんだろ」と小声で言い訳をしている。



「私と別れた後、私は青君のその後の彼女を全員知ってる。
中には普通に友達にもなってる子達もいたくらいに知ってる。
私だけじゃなくて他の彼女達のこともマ◯コとして見ていたことも、他の彼女の前でも“一平の所の子”“一平の所の子””一平の所の子”だったのを、私は知ってる。」



亜里沙さんが静かな目で青さんのことを見た。



「“一平の所の子”が高校生になるって、入学式なのに親も兄貴も来ないって、ホテルの窓から雪が降っているのを眺めながら、そればっかり言ってたって。
ホテルでだけど初めてお泊りをして貰える彼女だって喜んでいた彼女のことを置いて、エッチもせずに電車が止まる前に1人で帰って行って。
後日、“一平の所の子”の入学式に行ったって言った青君の顔は当時の彼女の顔を見ているようで見ていなかった。
ホテルに置いて帰ったこともそんな態度だったことも彼女から怒られた青君は速攻で謝った後に別れ話まで速攻でしてた。」



「いや、めっちゃ怒ってたしさ。」



「青君は彼女に怒ったことなんて1度もないよね。
男友達に本気で怒ってる所は何度か見たことがあるけど、女の子や彼女に怒った所なんて見たことがないし聞いたこともない。
青君からしてみたら女はみんなマ◯コかマ◯コじゃないかだもんね?」



「だから、そのネタで何度も弄ってくんなよ。」



「別に弄ってもいないし責めてもいないよ。
青君のそういう所も面白いし、“も~”とはなるけど嫌いじゃないし、むしろみんなそういう所も好きで。
青君は他のどの女の子に対しても同じだったから、青君の周りにいる沢山の女の子に対して嫉妬したこともなかった。」



亜里沙さんが私にゆっくりと視線を移した。



「“構って構って構って・・・やっぱりこれ以上構わないで”。」



そんなことを私に言ってきて・・・



「やろうと思ってもなかなか難しいんだよね。
だって、構って構って構ってってしないと、青君は絶対に構ってくれないもん。
青君からはエッチしたい時以外は絶対に来てくれないもん。
青君は、“男友達と2人で会議室に入った”なんて電話に大慌てで来るような男じゃないもん。」



亜里沙さんのキツい目に涙が薄っすらと溜まっていく。
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